オーストラリア経済、見通し明るい! ソフトランディング成功へ

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10-12月期GDP、予測上回る伸び

オーストラリアの国内総生産(GDP)の推移。折れ線グラフは実数、棒グラフは前年同期比の成長率(出典:オーストラリア統計局)

 物価上昇や高金利を背景にこのところ低成長にあえいできたオーストラリア経済だが、インフレ抑制と景気後退の回避を同時に達成するソフトランディング(軟着陸)の実現がようやく視界に入ってきた。

 生活者や市場関係者にとっては良いニュースだ。オーストラリア統計局(ABS)が5日発表した国民経済計算統計によると、2024年第4四半期(10-12月期)のGDP成長率は前期比で0.6%増(季節調整済み)と市場予測の0.5%増(ロイター通信)を上回った。4-6月期の0.2%増、7-9月期の0.3%増から加速した。前年同期比の成長率は1.3%増となり、コロナ禍以降で最低だった前期の0.8%増から回復した。

 国民1人当たりのGDP成長率は、0.1%と7四半期ぶりにプラスに転じ、慢性化していた「パー・キャピタ・リセッション」(国民1人当たりの景気後退)から脱した。日本と異なり移民の受け入れによって人口が増加しているオーストラリアでは、1人当たりベースでプラス成長を続ける必要がある。しかし、しばらく人口の伸びに経済成長が追いついていなかった。

 ABSのキャサリン・キーナン氏(国民経済計算統計部門)は声明で「経済の幅広い分野でそこそこの成長が見られた。公共部門と民間部門の支出の伸びがともに成長に貢献した。モノ・サービスの輸出も伸びた」と指摘した。

 GDPの約半分を占め、景気の動向を占う上で重要な家計支出(個人消費)は、前期比0.4%増(前期は0.1%減)と好調だった。ブラック・フライデーやサイバー・マンデーの年末商戦が盛り上がったことなどから贅沢品を中心に消費が伸びた。生活コスト高騰にあえいでいた国民が、昨年7月以降の所得減税や連邦政府・州政府の電気料金補助金を背景に、財布の紐を緩めつつあると見られる。

 公共放送ABC(電子版)によると、ジム・チャーマーズ連邦財務相はGDP統計について「私たちが計画し準備してきたソフトランディングがますます近づいてきた。インフレは低下し、所得は力強く、失業率は非常に低い。金利も引き下げられ、経済成長も上向いてきた」と述べた上で「最悪期を脱した」との考えを示した。

 エコノミストもおおむね好意的にとらえている。ABCによると、経済コンサルタント会社「デロイト・アクセス・エコノミクス」のスティーブン・スミス氏も、オーストラリアは経済循環の最も低い地点を通過したと指摘した。スミス氏は「経済的な逆風は収まり、金融緩和は個人消費や企業の設備投資を押し上げる。これに低失業率や実質賃金の上昇、インフレ低下、減税が加わり、景気の先行きは明るくなってきた」と展望を述べた。

■ソース

Australian economy grew 0.6 per cent in December quarter(ABS)

Australia’s economy ends 21-month per capita recession as GDP grows faster than population(ABC News)

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