オーストラリア就業者数、サプライズの大幅減

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2月失業率は4.1%と前月と同じも、内容は悪化か!?

 オーストラリア統計局(ABS)が20日発表した2月の雇用統計によると、失業率は(季節調整済み)4.1%と前月と変わらなかった。市場予測(ロイター通信)も同じだった。

 仕事を探している人が減ったため、数字の上で失業率に変化はなかった。しかし、就業者数は5万2,800人減と市場予測の3万人増を大きく下回り、ネガティブ・サプライズとなった。

 ABS雇用統計部門のビヨン・ジャービス氏は声明で「年齢の高い労働者の復職が減ったことが、就業者数の減少に結びついた」と指摘した。

 オーストラリアではおおむね昨年末ごろまで、物価上昇や高金利の影響で個人消費が低調に推移するなど、景気減速の懸念が漂っていた。ただ、失業率は歴史的な低水準を維持し、労働市場は力強さを維持していて、インフレ再燃の火種がくすぶっていた。2月の就業者数の大幅な減少は、雇用がやや軟化していることを示唆している可能性がある。

選挙前利下げの確率は10%

 オーストラリアでは5月17日までに次期連邦選挙が実施される。中銀・豪準備銀(RBA)の金融政策の独立性は担保されているものの、選挙を控えたこの時期に、国民の生活コスト高騰を和らげる利下げの政治的意味は大きい。アンソニー・アルバニージー首相の与党労働党としては、4月の追加利下げを味方に付けて、選挙戦で経済運営の成果をアピールしたい。

 投票日の選択肢は現時点で5月3日、10日、17日の3つの土曜日に絞られている。RBAが次の会合(3月31日〜4月1日)で追加利下げを発表した場合、選挙戦で労働党に追い風となる可能性がある。一方、4月に金利を据え置いた場合、その次の5月の会合は19〜20日と投票日の後になる。

 ただ、歴史的に見れば労働市場は依然としてタイト(受給が引き締まった)な状態にある。このため、少なくとも現時点では、RBAが4月に2会合連続で利下げに踏み切る可能性は低いと見られている。

 ロイター通信によると、金利先物から算出される4月利下げの確率は10%と雇用統計の発表後に変わらなかった。一方、5月利下げの確率は78%と8ポイント上昇した。

■ソース

Unemployment rate remains steady at 4.1% in February, Media Release(ABS)

Labour Force, Australia(ABS)

Australia employment posts surprise fall in February but jobless rate still low(Reuters)

Coming Up(Reserve Bank of Australia)

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