電光石火で減税法案成立へ オーストラリア連邦選挙突入秒読み

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与党労働党、経済運営の手柄と生活コスト高騰対策アピール

 オーストラリアの連邦与党労働党は、2025-26年度(25年7月1日〜26年6月30日)予算案発表翌日の26日、総額171億豪ドル(約1.6兆円)の所得税減税法案を議会に上程し、同日中に与党の賛成多数で下院を通過させた。上院でも近日中に可決・成立させる。公共放送ABC(電子版)など現地メディアが報じている。

 アルバニージー首相は、早ければ今週末にも次期連邦選挙(下院の全議席と上院の約半数を改選)の実施を発表する。投票日は現時点で5月3日、10日、17日(いずれも土曜日)の3パターンしかない。選挙前に所得税減税法案を成立させ、野党保守連合(自由党、国民党)に減税撤回を公約させることによって、野党陣営の人気を削ぐ狙いもあると見られる。

 なお、政府が新年度予算案で示した主な経済指標の見通しは表の通り。これによると、消費者物価指数(CPI)は当面、中銀・豪準備銀(RBA)の目標「2〜3%」内に収まる。賃金の伸びはインフレを上回り、実質賃金は上昇する。実質国内総生産(GDP)の成長率は次第に加速する。

 ジム・チャーマーズ連邦財務相は25日夜、議会での予算案発表のスピーチで「我々は先進国屈指の良好な状態で、グローバルなインフレ急上昇から抜け出しつつある」と述べた。インフレを抑制しつつ景気交代を回避するソフトランディング(軟着陸)の達成が近い。有権者にそう印象付ける狙いと見られる。

 与党労働党は、経済運営の手柄をアピールしつつ、所得税減税と手厚い生活支援策をテコに、苦戦が予想される選挙戦で反転攻勢を図る。

■ソース

Labor to push tax cuts through parliament today, forcing Coalition’s hand(ABC News)

2025–26 Budget Speech, Parliament House, Canberra(The Hon Dr Jim Chalmers MP Treasurer)

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