最大野党は燃料税率半分に引き下げ公約

オーストラリア与党労働党(中道左派)の選挙公約の目玉となる総額171億豪ドル(約1.6兆円)の所得税減税法案が26日夜、連邦議会で可決・成立した。アンソニー・アルバニージー首相が数日以内に発表する連邦選挙に間に合わせるため、法案を上程した日に両院を通過させるという異例のスピード成立となった。
労働党は25日発表した2025-26年度(25年7月1日〜26年6月30日)予算案に所得税減税を盛り込んだ。法案は下院を通過させた上で、与党勢力が過半数に満たない上院でも左派「グリーンズ」、無所属議員の協力を得て賛成多数で可決した。
ピーター・ダットン代表(自由党党首)率いる最大野党の保守連合(自由党、国民党=中道右派)は反対した。ダットン氏は与党の所得税減税を「選挙買収」と批判。「15カ月後に1日わずか70豪セント」の減税はまったく家計の足しにならないと切り捨てた。政権交代を果たした場合、所得税減税は廃止する方針だ。
ガソリン代年1,500豪ドル節約
生活コスト高騰対策の対案として、保守連合は1年間限定のガソリン減税を打ち出す。全国紙「オーストラリアン」などによると、保守連合は選挙に勝利して政権を奪回した場合、現行1リットル当たり50.8豪セントのガソリン税率を半分の25.4%に引き下げる。
これにより、1週間当たり55リットルの燃料を消費する車を2台所有する平均的な世帯の場合、1週間で28豪ドル、年間で1,500豪ドルのガソリン代が節約できるという。
ガソリン減税には60億豪ドルの予算を投入する計画。所得税減税の約3分の1のコストで、より実効性の高い家計支援ができることをアピールする。
ダットン氏は連邦議会で27日夜、与党の新年度予算案への対案スピーチを行う。同氏はここでガソリン減税をはじめとする生活コスト高騰対策や、財政健全化、安全保障環境の変化に対応した国防予算の強化などの選挙公約を発表すると見られる。
■ソース
Treasury Laws Amendment (More Cost of Living Relief) Bill 2025(Parliament of Australia)
47th Parliament Senate Journals, Wednesday, 26 March 2025(Parliament of Australia)
Surprise tax cuts pass Senate but Coalition vows to repeal them(ABC News)
Cheap tank versus Jim’s cuppa(The Australian)