与党は所得税減税 野党はガソリン減税

5月3日投票のオーストラリア連邦選挙では、「生活コスト高騰」や「エネルギー危機」が主な争点になる。オーストラリアでは、コロナ禍後の高いインフレと利上げを背景に食品や生活必需品、住宅ローンの返済額、家賃などが高騰し、国民生活は疲弊している。また、資源大国であるにもかかわらず、電気やガスが不足、高騰していて、社会問題になっている。
与党労働党は、生活コスト高騰対策として、総額171億豪ドル(約1.6兆円)の所得税減税や、電気料金補助金の延長(18億豪ドル)などを既に公約。無料診療の一般開業医に対する補助金引き上げ(79億豪ドル)、処方箋薬負担上限額の引き下げ(7.8億豪ドル)など医療費負担の軽減も掲げている。
一方、保守連合は、与党の所得税減税の対案として、ガソリン減税を打ち出している。政権交代を実現した場合、1年間の期間限定で、ガソリン税率を1リットル当たり25.4豪セントと現行の半分に引き下げる。車2台を所有する平均的な世帯では年間1,500豪ドルのガソリン代が節約でき、「15カ月後に1日当たり70豪セント」に過ぎない与党の所得税減税と比べ、効果的で即効性の高い生活支援策になると主張している。
エネルギー政策をめぐっては、労働党が太陽光と風力を軸とした再生可能エネルギー推進を継続し、安価に脱炭素を実現する方針だ。これに対し、保守連合は国内7カ所に原発を新設する長期計画を掲げ、当面は国産天然ガス輸出量の10〜20%を東海岸に振り向けることや、ガスの卸売価格を引き下げるなどの施策により、国内のエネルギー需要に対応するとしている。
このほか、保守連合は、コロナ禍後の移民急増が住宅不足や不動産高騰の要因になっていることから、移民受け入れ枠の縮小を掲げている。今後、オーストラリアへの移住を検討している人には影響が出る可能性がある。