サイゼリヤがオーストラリアに出店する理由とは?

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食品工場は操業も、レストラン営業は初めて

 イタリア料理のファミリーレストランを展開するサイゼリヤ(埼玉県吉川市)は9日、オーストラリアに出店すると発表した。開店準備のため、9月に資本金約3億円で100%子会社「オーストラリア・サイゼリヤ・レストラン」を設立する。

 同社は2000年に現地法人「サイゼリヤ・オーストラリア」を設立し、南部ビクトリア州メルトンに食品工場を建設。パスタのソースやスープ、ハンバーガーのパテなどを製造し、日本や海外の店舗に輸出している。ただ、オーストラリア国内ではレストランを展開していなかった。日本のファミレス大手のオーストラリア進出は史上初と見られる。

 サイゼリヤはファミレス黎明期の1967年に創業、73年に法人化した。24年8月期に2,245億円を売り上げ、日本のファミレス業界でトップ集団の一角を占めている。2024年8月31日時点で日本国内1,038店舗、海外531店舗を展開(表参照)しているが、海外出店はほぼ中華圏に限られる。オーストラリアに橋頭堡を築けば、食文化が似た北米や欧州など西洋文化圏への本格参入も視野に入る。

 とはいえ、日本の飲食大手はこれまで、オーストラリアで進出と撤退を繰り返してきた歴史がある。吉野家はシドニーに2店舗を出店したが09年に閉店。シドニー北郊に出店した丸亀製麺は好評だったが、コロナ禍で店を閉じた。モスバーガーも北東部クイーンズランド州に6店舗を展開したが、24年までに全店を閉鎖した。

 ユニークな「ジャパニーズ・スタイル」のイタリア料理を提供するサイゼリヤ。イタリア移民も多いオーストラリアで、どこまで浸透するか。西洋市場開拓の試金石となる。

■ソース

海外子会社設立に関するお知らせ(オーストラリア)(株式会社サイゼリヤ)

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