建設費76億豪ドル上振れ バス輸送拡充へ

オーストラリアのクイーンズランド州政府は1日、州南東部のビーチリゾートであるゴールドコーストの路面電車「Gリンク」の延伸計画を撤回すると発表した。建設費が当初の見積もりから大幅に上振れした上に、環境問題などから住民の過半数が反対していた。
Gリンクは2014年、ゴールドコースト大学病院からブロードビーチ・サウスまで南北を縦断するルートで開業した。17年には同大学病院からヘレンズベール駅まで北進し、ブリスベンに向かう鉄道に接続した。現在、バーレーヘッズまで南進する第3期の工事を行っている。
バーレーヘッズからゴールドコースト国際空港を経由してクーランガッタに至る第4期のルートは、労働党の前州政権が計画した。建設費は当初、27億豪ドル(約2,610億円)と見積っていたが、現時点の想定では76億豪ドル上振れ。98億5,000万豪ドルと当初計画の4倍近くに膨れ上がっていた。
加えて、建設ルート上には国立公園や河川があり、自然環境を破壊するとの懸念があった。州政府によると、5,600通以上のパブリックコメントが寄せられ、半数以上が計画に否定的だったという。
こうした理由から、自由国民党の現政権は計画撤回に至った。クイーンズランド州南東部は人口が急増しており、32年のブリスベン五輪に向けたインフラ整備も加速。ゴールドコーストの人口は現在の約65万人から41年に100万人に達する見通しだが、ゴールドコースト空港までのバス輸送を拡充することで、交通需要の伸びに対応する方針だ。
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