定年制度はないけれど…

オーストラリアでは年齢を理由とした採用や解雇は違法で、日本のように定年制度がない。このため、健康で働く意思と能力がある限り、仕事を続けることは可能だが、「ワーク・ライフ・バランス」の「ライフ」の比重が大きいことから早期リタイアを望む人も少なくない。現実には、平均すると60歳台半ばで退職している人が多いようだ。
オーストラリア統計局(ABS)がこのほど発表した調査結果(サンプル数約1万4,000人、2年に1回実施)によると、2024-25年度(オーストラリアの会計年度は7月1日〜6月30日)の1年間、45歳以上の総人口のうちリタイアした人の数は15万6,000人で、その年齢は平均63.8歳だった。また、45歳以上の人で今後リタイアを希望する年齢は平均65.6歳だった。
退職理由については、「リタイア(に適した)年齢に達したか、スーパーアニュエーション(スーパー=積立型確定拠出年金)の受給年齢に達した」が33%で最も多く、「自分自身の病気、ケガ、身体の障がい」(13%)、「解雇されたか、仕事が見つからない」(6%)がこれに続いている。
スーパーやエイジ・ペンションを受け取れるタイミングで、退職を選択する人が多いことがうかがえる。スーパーの一般的な受給開始年齢(諸条件により異なる)は65歳、またはすでにリタイアした場合は60歳(1964年7月1日以降に生まれた人)。「高齢者給付金」(エイジ・ペンション)の受給開始年齢は67歳となっている。
■ソース
Retirement and Retirement Intentions, Australia methodology(ABS)