オーストラリアで奏功するトヨタ「全方位戦略」とは?

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ハイブリッド車、プラグイン・ハイブリッド車に追い風

トヨタRAV4の5代目現行モデル(Photo: Toyota Australia)

 トヨタのスポーツ多目的車(SUV)「RAV4」の現行モデルは、モデル末期にもかかわらず、オーストラリアのSUV市場で一番売れている。連邦自動車工業会(FCAI)によると、今年10月には4,841台を販売し、SUV市場でトップの座を維持した。全体では1位の小型トラック「トヨタ・ハイラックス」、2位の同「フォード・レンジャー」に次いで3位につけている。

 FCAIによると、SUVはオーストラリアの新車販売台数の実に61.7%(10月)を占める。中でもRAV4が属する中型SUVのセグメントは、新車販売台数全体の約4分の1を占める激戦区となっている。

 一方、電動車の動力源別シェアは、ガソリンエンジンとモーターを併用したハイブリッド車(HEV)が17.8%、モーターだけで駆動するバッテリー電気自動車(BEV)が7.3%、ガソリンエンジンとモーターを併用しつつ充電もできるプラグイン・ハイブリッド車(PHEV)が4.7%だった。販売台数の推移を見ると、ハイブリッド車は前年同月比で25%増、プラグイン・ハイブリッド車は95%増と大幅に伸びた。一方、BEVは前年同月と同水準にとどまり、伸びの鈍化傾向が鮮明になっている。

 トヨタは、オーストラリア市場ですでにガソリンエンジンのみのRAV4をカタログから外し、ハイブリッド車だけを販売している。好調の背景には、1リットル当たり22.7キロ(カタログ値=実際の数字とは異なる)という好燃費と、環境性能の高さがあると見られる。消費者のニーズに合わせて、多様な動力源を展開するトヨタの「全方位戦略」が、オーストラリア市場でも奏功している格好だ。

 BEVの勢いが頭打ちとなる中で、トヨタブランドとしてはオーストラリアで初投入する新型RAV4のプラグイン・ハイブリッド車も、追い風となる可能性がある。

 トヨタ・オーストラリアのショーン・ハンリー副社長(販売、販促、フランチャイズ運営担当)は声明で、次のように指摘している。

「トヨタの顧客はここ数年、ハイブリッド技術にますます引き寄せられています。新型RAV4は初のプラグイン・ハイブリッド車の投入により、トヨタのハイブリッド発展の次のステップを示しています」

「トヨタは、適切な使用状況に応じた、適切な動力源を顧客に提供していくことに注力しています。燃費の良い電動の動力源と車種の選択肢を幅広く揃えることによって、オーストラリアでのRAV4の人気はどんどん拡大していくでしょう」

■ソース

Hybrids gain momentum in October market(Federal Chamber of Automotive Industries)

ALL-NEW TOYOTA RAV4 RANGE ARRIVING IN AUSTRALIAN SHOWROOMS IN 2026 PRICED FROM $45,990(Toyota Australia Pressroom)

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