豪小売業協会の予測は1人8万円

ブラックフライデーからサイバーマンデー(今年は11月28日〜12月1日)にかけての安売りセールは、オーストラリアでは年末商戦を前倒しする「前哨戦」という位置付けから、クリスマス・ショッピングの「本丸」へと変化してきている。
オーストラリア小売業協会(ARA)と調査会社ロイモーガンの市場調査によると、今年のブラックフライデー商戦の全国売上高は、前年比で4%伸びて68億豪ドル(約6,940億円)と史上最高となる見通しだ。
ただ、この予測が正しければ、今年のブラックフライデー商戦の売上高は、物価上昇を差し引くとほとんど伸びない。そのように斜めに見ることもできそうだ。豪統計局(ABS)によると、直近10月の消費者物価指数(CPI=この月から従来の四半期統計に代わって月次統計が正式な物価統計に格上げ)の上昇率は前年同月比3.8%。6月に底を打った1.9%から再燃しつつある。
ブラックフライデー商戦で購入する予定の人の数は、約600万人と国民のおよそ4人に1人を占める。このうち女性が350万人、男性が250万人と予想している。平均支出額は1人当たり804豪ドル、女性は750豪ドル、男性は882豪ドルとなる見込みだ。
ブラックフライデーの商品購入の目的は、男女で大きな違いがある。女性はクリスマスのプレゼントが17%、自分用が16%と拮抗している。一方、男性は自分用が27%とプレゼントの7%を大幅に上回っている。
高額商品は安売りに照準
ARAのクリス・ロッドウェル代表(CEO)は声明で「オーストラリアの小売業界にとって、ブラックフライデーの存在感は強固なものとなっている。過去2年間、消費活動が控えめになっている中で、非生活必需品を販売する小売業界の企業や中小事業主にとっては死活的な収入源になっている」と指摘した。
物価の再上昇や、なかなか下がらない金利を背景に、消費者は財布の紐を緩めていない。だからこそ、高い買い物はブラックフライデーに狙いを定めているようだ。後払い決済サービス大手のアフターペイが実施した別の調査によると、高額商品の購入に安売りセールを利用しているとした回答者は全体の45%に達した。
同調査によると、買い物リストの商品別内訳は、服飾・靴が45%、おもちゃが34%、本が33%、インテリア・装飾品が32%となっている。
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