重体の息子は意識回復、今日にも起訴へ

オーストラリアのシドニー東郊ボンダイ・ビーチで14日発生した銃乱射テロ事件で、容疑者2人に関する新情報が明らかになっている。
公共放送ABC(電子版)が16日に報じたところによると、父のサジド・アクラム容疑者(50歳=現場で射殺)と息子のナビード・アクラム容疑者(24歳=重体)の2人は、直前の11月に約1カ月間、フィリピンに滞在し、「軍隊式の訓練」を受けていたという。同放送の取材に対して「匿名の諜報筋」の幹部がこれを認めたとしているが、当局が意図的にリークした可能性もあると見られる。
連邦移住省の公式発表でも、2人が11月1日にフィリピンに入国し、28日に同国を出国してシドニーに戻っていたことが分かっている。2人は同国南部ミンダナオ島のダバオに滞在すると申告していた。
諜報筋の話が事実なら、2人は周到に犯行を計画し、何らかの施設や組織で銃の訓練を受けていた可能性がある。2人が滞在していたとされるダバオはイスラム民兵組織の拠点として知られる。ABCによると、諜報筋は2人の詳しい足取りや滞在先については、口を開かなかったという。
現時点で政府・警察は、少なくとも表向きは、イスラム過激思想に傾倒した親子による単独犯行の線で捜査しており、テロ勢力の組織的関与はなかったとの見方を示している。だが、2人のフィリピンでの行動次第では、テロ勢力の関与や支援も疑われる。真相解明が待たれる。
また、サジド容疑者はインド、ナビード容疑者はオーストラリアのパスポートでそれぞれフィリピンに入国したという。サジド容疑者は90年代後半に来豪し、ナビード容疑者はオーストラリアで出生したとされる。
ただ、政府は現時点でサジド容疑者の出身国を公表していない。サジド容疑者が「インド出身なのか」、「偽造パスポートで渡航したのか」も、今後の焦点となる。
ペニー・ウォン外相は17日、ABCラジオで「最大限の捜査を行えるように、海外の警察や諜報機関と連携している」と述べるにとどめ、報道内容が事実かどうかは明言を避けた。
なお、ABCによると、銃弾を受けて重体となっていたナビード容疑者は16日、収容先の病院で意識を回復した。ニューサウスウェールズ州警察のマル・ラントン警視総監は17日朝、ABCラジオで「今日、彼を尋問するだろう」と述べた。州警察はまもなく同容疑者を起訴する見通しだ。
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