人種的中傷や暴力煽る組織リーダーをターゲットに

オーストラリア・シドニーのボンダイ・ビーチ銃乱射テロ事件を受けて、同国のアンソニー・アルバニージー首相は18日、暴力を扇動する指導者などを対象にしたヘイトスピーチ規制を強化する法改正を行うと表明した。今回の事件をめぐっては、政府が反セム主義(反ユダヤ主義)の台頭を見逃していたのではないかとの声が出ている。
公共放送ABC(電子版)によると、アルバニージー首相は「(これまでの複数の)政権は完璧ではなかった。私も完璧ではない」と批判を認めた上で、「私たちに必要なのは前に進めることだ」と法改正の必要性を訴えた。
改正案では、人種や人種の優越性に基づく深刻な中傷や暴力を扇動・主張する者を対象に、悪質なヘイトスピーチを新たに禁じる。また、暴力を煽るヘイトスピーチへの罰則を強化し、オンラインの脅迫や嫌がらせも規制し、指導者がヘイトスピーチを行っている組織もリスト化する。
首相は事件直後の15日、各州・準州首相との合同会議を開き、銃規制の強化を打ち出している。ただ、反セム主義への対応が不十分との声が出ていた。
今回の事件では容疑者親子のうち息子のナビード・アクラム容疑者(24歳)が、イスラム国(IS)関係者として当局にマークされていたことが明るみに出ている。国内で過激なイスラム思想を掲げる唱導者を信奉していたことも分かっているが、この人物は刑事訴追されていない。
一方、ニューサウスウェールズ州のクリス・ミンズ州首相は、クリスマス前に州議会を招集し、銃規制の州法改正を急ぐ方針を明らかにしている。
■ソース
Albanese announces tougher hate speech laws in wake of Bondi terror attack(ABC News)