11月CPI上昇率前年同期比3.4%上昇 市場予測下回るも警戒感

オーストラリア統計局(ABS)は7日、2025年11月の月次消費者物価指数(CPI)を発表し、前年同月比の上昇率が3.4%となり、10月の3.8%から減速したことが明らかになった。物価上昇の勢いはやや鈍化したものの、豪準備銀行(RBA)が重視する「トリム平均値」は前年同月比3.2%と、前月の3.3%から小幅に低下するにとどまり、依然としてRBAのインフレ目標である2〜3%の上限を上回っている。このため、市場ではRBAが2月2日〜3日に行う新年最初の会合で、利上げに踏み切るのではないかとの見方が強まっている。
ロイター通信によると、統計発表前の市場予想の中央値は前年同月比3.7%だったが、実際の結果はこれを下回った。ただ、基調的インフレの粘着性が依然として強いとの受け止めが広がっており、金融市場ではRBAが2月に追加利上げを行う確率を約33%と織り込んでいる。インフレの減速は確認されたものの、物価上昇圧力が簡単には収まらないとの見方が、引き続き市場の警戒感につながっている。
オックスフォード・エコノミクス・オーストラリアの調査責任者であるハリー・マーフィー・クルーズ氏は、1月28日に発表される26年10−12月期の四半期CPI統計について「トリム平均値3.2%が1つの分岐点となる。この水準を上回れば、2月初旬に予定されている次回のRBA理事会で、利上げが正当化されるだろう」と指摘した。
RBAは2025年に入り景気減速への配慮から3度の利下げを実施し、政策金利を3.6%まで引き下げていた。しかし、いったん落ち着きを見せていたインフレがこのところ再び勢いを取り戻す兆しを見せていることから、市場ではRBAが金融緩和姿勢を転換し、再び引き締めに動くのではないかとの観測が強まっている。
ロイター通信によると、大手銀行のコモンウェルス銀行とナショナル・オーストラリア銀行のエコノミストは、ともに2月の0.25ポイント利上げを予測している。両行は、豪州経済がすでに供給能力の限界に近い水準で推移していると指摘しており、これ以上の需要拡大はインフレ圧力を強めかねないとの見方を示している。労働市場も引き続き底堅く、失業率は歴史的低水準である4.3%前後にとどまっており、金融引き締めに耐えうる環境が整っているとの認識が広がっている。
オーストラリアでは持ち家率が高く、住宅ローンは金利変動型が主流となっている。このため、政策金利の動向は企業活動だけでなく、家計の可処分所得や消費マインドに直結する。利上げが実施されれば、住宅ローン返済額の増加を通じて家計の負担が重くなり、個人消費の減速につながる側面が強い。インフレ抑制と景気への配慮という難しいかじ取りを迫られる中で、RBAの次の一手は、豪州経済と生活者の懐に大きな影響を及ぼす可能性がある。
■ソース
CPI rose 3.4% in the year to November 2025 (ABS)
Australia’s inflation slows in November, but core sticky (Reuters)