移住者減と低出生率で増加ペースはスローダウン

オーストラリアの総人口は、2026年中に2,800万人の大台を超える見通しだ。その一方で、人口増の原動力の1つであった海外からの移住者数の減少が続いているほか、国内の出生率低下も今後の人口動態に影響を及ぼすとみられている。
ジム・チャーマーズ連邦財務相が9日発表した「2025年人口見通し」によると、2025-26年度の人口成長率は1.3%にとどまり、前年比から伸びが鈍化する。伸び率は2010年代の平均1.4%を下回る。人口増加の主な要因としては、依然として海外からの移住と国内の自然増が挙げられるが、いずれも減速傾向にある。
同見通しによると、海外から到着した移住者数から海外へ転出した移住者数を引いた純増数(ネット・オーバーシーズ・マイグレーション)は、25-26年度に約26万人まで減少するという。これは22-23年度のコロナ後のピーク時のほぼ半分の水準。同財務相は、移住者数が以前の想定を下回って推移していることを認めたうえで、今後さらに低下する可能性も示唆している。
オーストラリア統計局(ABS)が25年12月に発表した最新の統計でも、24-25年度の純増数は約30万6,000人となり、前年から大幅に減少したことが明らかになっている。移住者の到着数が14%減少した一方、出国者数は13%増加している。移住者数を絞り込む移民政策を背景に、特に海外留学生や短期滞在者の流入の動きに変化が見られる。
さらに、国内の出生率も記録的な低水準に落ち込んでいる。ABSによると、2024年の合計特殊出生率(1人の女性が一生のうちに産む子供の平均数)は1.48と、直近のピークだった2008年の2.02から低下傾向が続いている。国内だけで人口維持に必要とされる2.1を大きく下回っており、高齢化が進む中で、若年層の比率低下が今後の労働市場や経済成長に与える影響が懸念される。
移民受け入れを背景におおむね3年間に100万人というハイペースで人口が増加しているオーストラリアだが、女性の社会進出に伴う少子高齢化という先進諸国に共通の課題からは、逃れることができない。
政府はこうした人口動態の変化に対応するため、保育支援の拡充や有給育児休暇の拡大など、出生率改善に向けた施策の実施を進める方針。持続的な経済成長と社会保障制度を維持するには、移民政策と少子化対策の両面での対応が、今後の重要な政策課題となりそうだ。
■ソース
2025 Population statement released(The Hon Dr Jim Chalmers MP, Treasurer)
Annual net overseas migration falls for the second year in a row, Media Release(ABS)