カンタスが海外拠点のLCCから完全撤退する理由とは?

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原点回帰と成長戦略に「選択と集中」

昨年11月、フランス・トゥールーズのエアバス工場で初めて公開されたカンタス向けのA350-1000ULR。ULRはUltra Long Range(超長距離)の略。今年中に納品され、2027年のシドニー・ニューヨーク間、シドニー・ロンドン間の直行便就航を目指している(Photo: Qantas Group)

 オーストラリアのカンタス航空が、格安航空会社(LCC)ジェットスター・ジャパンから手を引く。カンタスは昨年7月、シンガポール拠点のジェットスター・アジアの運航を停止したばかり。続いてジェットスター・ジャパンの保有株をすべて譲渡し、海外拠点のLCC事業から完全に撤退する。

 3つあったジェットスターのブランドは、オーストラリアとニュージーランドを拠点に国内線・国際線を運航している完全子会社、ジェットスター・エアウェイズを残すのみとなる。

 撤退の背景には、オセアニア拠点のコアビジネスへの回帰と、成長分野への投資という戦略がある。

 カンタスやJALなどが3日発表した共同声明は「カンタス・グループは(ジェットスター・ジャパンからの)投資引き上げ後、オーストラリアの中核的な事業であるカンタス航空とジェットスター・エアウェイズに集中し、創業以来最大の機材刷新計画をさらに加速させる」と述べた。

悲願のNY、ロンドン直行便、2027年テイクオフへ

 カンタスはコロナ禍の危機からV字回復を果たした。ところが、ロックダウン(都市封鎖)時に従業員1,700人を不当に解雇したとして訴えたれた裁判で23年に敗訴。キャンセルした便の航空券を不正に販売していた「幽霊フライト問題」でも24年に矢面に立たされ、8万6,000人の顧客に多額の賠償金の支払った。世間から強い批判を受けた。

 23年に就任した同社初の女性トップ、バネッサ・ハドソン最高経営責任者(CEO)の下で、一連の不祥事に区切りを付け、現在、グループ全体で約200機を刷新する計画を進行中だ。超長距離飛行が可能なエアバスA350-1000も12機導入し、27年にはシドニー・ニューヨーク間、シドニー・ロンドン間をノンストップで結ぶ「プロジェクト・サンライズ」の実現を目指す。

 オーストラリア東海岸は、ニューヨークやロンドンから遠すぎるため、21世紀の現代でも無給油の定期便は飛行していない。米東海岸や英国への直行便就航は、カンタスのみならず、オーストラリアの悲願でもある。

 昨年のジェットスター・アジア廃止に際して、ハドソンCEOは「収益の高い部門と、プロジェクト・サンライズのような戦略的な成長分野に資本を振り向ける」と述べた。カンガルーの翼を上昇気流に乗せ、完全復活を果たすことができるか。

◼️ソース

Joint release: Announcement of Intent for Strategic Shareholder Change in Jetstar Japan(Qantas News Room)

QANTAS GROUP TO CLOSE ITS INTRA-ASIA AIRLINE JETSTAR ASIA(Qantas News Room)

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