「投機やパニック買いはダメ」とエネルギー相

オーストラリア連邦政府は、ホルムズ海峡の事実上の封鎖に伴う石油製品の供給網の混乱に対処するため、ガソリンと軽油の法定最低備蓄量(MSO)の最大20%を放出する。クリス・ボウエン連邦気候変動・エネルギー相が13日、発表した。放出量は最大7億6,200万リットル。原油換算で最大500万バレルに相当するという。
きわめて単純な計算だが、仮に標準的な小型車のタンク容量が40リットルとすると約1,900万回、満タンにできる量となる。オーストラリア国内で登録されているすべての乗用車がほぼ1回ずつ、満タンにできるイメージだ。
中東情勢の緊迫化を受けた需要の急増により、地方を中心に、局地的に燃料不足が生じているという。連邦政府は地方や農業、海運への供給を優先する。日常の石油製品需要を満たすことが目的で、価格高騰を見込んだ投機やパニック買い、通常時に必要とされる水準以上の買いだめは容認しない。
ホルムズ海峡の封鎖はこれまでテールリスク(確率は低い一方で、発生すれば甚大な損失をもたらす危険)とされてきた。これが今回、実際に起きたことで、オーストラリアの燃料安全保障の脆弱性を浮き彫りにしている。オーストラリアは産油国だが、生産コストが高いことから精油所を次々と閉鎖してきた。その結果、製油所が国内に2カ所しか残っていないため、増産余力が小さい。
このため、連邦気候変動・エネルギー・環境・水資源省によると、オーストラリアは現在、液体燃料の約9割を輸入に依存している。3月10日時点の備蓄日数はガソリン約37日分、軽油約30日分にとどまる。現時点では石油製品の輸入自体に滞りはないとされるが、ホルムズ海峡封鎖が長期化した場合、全国規模で供給不安が生じる可能性がある。
クリス・ボウエン連邦気候変動・エネルギー相は、MSOの放出について、国際エネルギー機関(IEA)が主導する世界的な協調行動の一環だと強調した。同エネルギー相は声明で「この戦争が続けば、供給に影響が出ることは明らかであり、世界はその影響を軽減するために動いている。われわれは常にオーストラリアの国益を最優先に行動していく」と述べた。
◼️ソース
More fuel for regional Australians(The Hon Chris Bowen MP, Minister for Climate Change and Energy)