オーストラリアの女性ジャーナリストの道開いた先駆者
5月20日付シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH、電子版)は、オーストラリアの女性ジャーナリストの道を切り開いた先駆者、ABC放送のキャロライン・ジョーンズ氏の死去を伝えている。84歳。
ジョーンズ氏は1963年にABC放送に入社、同放送の長寿時事番組「Four Corners」のホストを務めた。さらに、オーストラリア社会各界の人々の生き方を紹介する番組「Australian Story」を1996年の番組開始から2016年に引退するまでプレゼンターを務めている。
引退に際して、ジョーンズ氏は、ヘラルド紙のインタビューに答え、「引退は自分で決めたことだが、ABC放送とAustralian Storyには強い気持ちがある。今後もABC放送を支援していく。しかし、これは時機の問題だ。他にもやらなければならないことがたくさんあると感じるようになり、しかも時間が限られていることも実感するようになる」と語っている。
「Australian Story」のプロデューサ、ケイトリン・シェイ氏は、「ジョーンズ氏はシドニーの自宅で倒れ、亡くなった。ジョーンズはジャーナリズムの先駆者であり、その気品、明るさ、紛れもないプロフェッショナリズムで記憶されることになるだろう」と語っている。
ジョーンズ氏は、1968年にはABC放送で、オーストラリア初の全国放送時事問題番組「This Day Tonight」の初の女性レポーターを務めており、ABCラジオ局のラジオ・ナショナルでも、インタビュー形式の「The Search For Meaning」で8年間プレゼンターを務めている。このプログラムでのインタビュー対話が1989年から1995年まで4册の本になっている。
1988年にはOrder of Australia叙勲を受勲し、2013年にはジャーナリズムへの貢献を顕彰され、ウォーキー・アワードを受けている。
2018年、ABC放送は、ジョーンズ氏の名前を冠したABC News奨学金制度を設立、アボリジニ、トーレス海峡諸島人のジャーナリスト養成のための資金と教育訓練制度を用意した。
2016年のジョーンズ氏の退職に際しては、ギャバン・モリス元ABC放送ニュース部長が、「ジョーンズは、オーストラリア・ジャーナリズムの伝説的人物であり、先駆者であり、メディアで働く大勢の女性を啓発し、役割モデルとなる人物だ。同時に、素晴らしいジャーナリストであり、放送人であり、オーストラリアでも最高のコミュニケータの一人であり、また何よりも素晴らしい人物だ」と語っている。
■ソース
Trailblazing journalist Caroline Jones dead at 84