シドニー周辺で先行整備へ−全体構想は不透明
連邦政府とニュー・サウス・ウェールズ(NSW)州政府が、豪州初の高速鉄道の建設に着手することが決まった。豪州では、高速鉄道の構想がこれまで何度も浮上しているが、実現していない。主な大都市間の距離が長い豪州では、高速鉄道よりも航空機の費用対効果が高いからだ。大都市間に一定の人口を持つ中核都市もほとんどないため、地方経済への波及効果も生まれにくい。
現時点では、全体構想のルートや運行方式、最高時速、開業時期など詳細ははっきりしていない。ただ、シドニーとセントラル・コースト間の短い区間とはいえ、高速鉄道の建設が具体化したのは初めてだ。
先の連邦選挙で高速鉄道の建設着手を公約に掲げアルバニージー労働党党首(現首相)は、高速鉄道計画の第1段階としてシドニーとニュー・キャッスル間を優先的に整備すると表明。選挙に勝利すれば「実際の高速鉄道の建設に初めて取り組む政権になる」と胸を張った。
その上で、同氏は「私のビジョンは、ブリスベンから(シドニー経由で)メルボルンまで走る高速鉄道だ」と述べていた。豪州の東海岸の主要都市間南北約2,000キロを縦断する「豪州版新幹線」が念頭にある。
全体構想が実現するのは遠い将来になりそうだが、シドニー周辺を優先して整備する計画が具体化したのは一歩前進と言えそうだ。
■ソース
Labor leader Anthony Albanese pledges $500m for Sydney-Newcastle fast rail (ABC News)