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「インフレは来年初頭まで止まらないかも」−豪中銀総裁

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時事番組のインタビューで見解

公共放送ABCの時事番組「セブン・サーティー」でインタビューに応える豪準備銀(RBA)のフィリップ・ロウ総裁

 物価上昇率は今年のクリスマスまでに前年同期比7%にまで上昇する可能性があり、来年第1四半期(1〜3月)まで下落しないかもしれない−−。14日夜に放映された公共放送ABCの地上波の時事番組「セブン・サーティー」で、豪準備銀(RBA=中央銀行)のフィリップ・ロウ総裁がインフレについて厳しい見通しを示した。

 RBAが7日に開いた理事会で0.5ポイントの利上げを決定して以来、同総裁が金融政策について語るのは初めて。インフレがRBAの目標である「2〜3%」に戻るまで「必要なことはやる」と述べ、物価上昇圧力の沈静化を最優先に取り組む姿勢を示した。

 その上で、「目標を達成するまでに政策金利をどこまで引き上げる必要があるかは、現時点でははっきり分からない。インフレはいずれ収まると確信しているが、それを達成するまでは金利を引き上げなければならない」と強調した。

政策金利の上限は2.5%付近か

 コロナ禍後の世界的な供給制約やロシアのウクライナ侵攻を受けたエネルギー価格の高騰を背景に、豪州でも物価上昇の勢いが止まらない。今年3月四半期の消費者物価指数(CPI)は「総合」で前年同期比5.1%上昇、RBAがより重視する「トリム中央値」(極端な物価変動を除いた数値)でも同3.7%の上昇となり、目標の2〜3%を大幅に上回った。

 また、今回の金融引き締め局面での政策金利の上限について同総裁は、ある時点で2.5%まで引き上げるのは「賢明だ」と主張。新型コロナ・ウイルスの感染拡大という緊急事態で実施した空前の金融緩和を巻き戻し、金融政策を正常化する必要があると指摘した。

「私たちのインフレ目標(2〜3%)の真ん中は2.5%なので、政策金利が2.5%であれば、(理論的には)実質的な金利水準はゼロということになる。これは歴史的には非常に低い水準だ」

 ただ、金利を2.5%まで引き上げた場合、100万豪ドルの住宅ローンを抱える家庭にとっては、数週間前と比較して毎月のローン支払いが1,000豪ドル増えることになる。

コロナ禍の反動で豪景気は力強い

 RBAは昨年10月の時点で「2024年まで利上げは行わない」と明言していた。ところが、想定外の上昇幅とスピードで忍び寄るインフレを退治するため、今年5月に約12年ぶりとなる利上げに踏み切った。0.1%だった政策金利は0.25ポイント引き上げて0.35%に。さらに6月7日にはサプライズとなった0.5ポイントの利上げを実施し、同金利を0.85%としている。

 利上げを大幅に早めた点ついて、同総裁は「私たちの想定よりも、景気回復とインフレははるかに力強かった。私たちは、それに対処する必要があると考えたのだ」と説明した。

 新車や半導体の生産拡大など、世界的な供給制約がすでに解消されつつあるという。このため、物価は来年第1四半期から第2四半期にかけて下落する兆しが見え始めているとしている。

「豪州経済はまだコロナ規制からの反動のサイクルにあり、今後半年から1年間は力強い成長を持続すると見ている」

■ソース

Reserve Bank Governor Philip Lowe warns it is unclear how high interest rates will go (ABC News)

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