2年後の単年度黒字化目指す
豪東部ニュー・サウス・ウェールズ(NSW)州政府は21日、2022/23年度(22年7月1日〜23年6月30日)の予算案を発表した。歳入は1,036億1,700万豪ドル(前年度比0.1%減)、歳出は1,148億7,800万豪ドル(4.5%減)を見込む。歳入から歳出を引いた財政収支は112億6,000万豪ドルの赤字となる見通し。2年後の24/25年度には6億100万豪ドルの単年度黒字を目指す。
歳出面の主な施策は次の通り。
①女性の機会向上
・チャイルドケア(保育・託児)費用の支援(10年間で50億豪ドル)
・体外受精(IVF)の支援(8,000万豪ドル)
・女性の安全確保・ハラスメント対策(1億890万豪ドル)
②子ども・若者への投資
・幼児教育の改善(4年間で38億豪ドル)
・2030年までに、すべての就学前児童を対象に教育プログラムを提供
③住宅の支援(28億豪ドル)
・住宅供給の拡大
・初めて住宅を購入する人への支援
・公共住宅・先住民向け公共住宅の改善
④長期的な経済振興
・科学技術への投資(最大10億豪ドル)−最新の研究施設、イノベーション拠点の整備
・クリティカルミネラル(重要鉱物資源)への投資(1億3,000万豪ドル)
・地方に産業を創出する「活性化特区」への投資(10億豪ドル)
⑤地球環境保護・クリーン経済振興
・再生エネルギー促進基金への出資(12億豪ドル)
・温室効果ガス削減、生物多様性の促進、気候変動への対応(4年間で15億豪ドル)
州経済の成長率は年間平均2.5%
予算案の経済見通しでは、新型コロナウイルスの変異種「オミクロン株」の流行や年初の洪水にもかかわらず、ワクチン接種率の向上や「コロナとの共生」が浸透していることを背景に、州経済はこれまでの反動で高成長を持続すると予測。25/26年度までの5年間の州内総生産(GSP)は年間平均2.5%で成長するとした。
失業率は「完全雇用」の状態とされる現状の4.0%(今年5月)を維持すると予想した。人材不足を背景に、賃金上昇率は22/23年度、23/24年度を通して年間3.0%と想定した。
マット・キーンNSW州財務相は「州経済は(コロナ禍から)回復したものの、依然として供給制約による高いインフレというパンデミックの余波の影響を受けている。インフレはロシアによるウクライナ侵攻によってさらにエスカレートしている。NSW州政府は、コロナ禍と同様に今日の困難(インフレ)も乗り越えられるよう支援していく」と述べた。
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