中国の対オーストラリア直接投資が激減した理由とは?

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2021年は前年比7割減、ピーク時からは96%減

人民元の紙幣(Photo: Wikipedia)

 企業買収や資源権益の取得など中国企業による2021年の対豪直接投資額(フロー=居住用アパートや個人向け戸建住宅を除く)は、総額5億8,500万米ドルと前年と比べて69.8%減少した。大手会計事務所KPMGとシドニー大学がこのほど共同で発表した報告書で明らかにした。

 過去最高だった08年(162億米ドル)と比較すると、実に96%も縮小した。取引件数も前年の20件から11件とほぼ半減した。業種別では、鉄鉱石やリチウムの権益取得などの鉱業が全体の70.1%を占めた。商業用不動産は26.7%、再生可能エネルギー関連事業は3.2%だった。

豪中の対立は決定的に

 中国の対豪直接投資額は16年の直近のピーク(115億3,800万米ドル)以来、5年連続で減少している。背景には、豪中関係が近年、急速に冷え込んでいることがある。

 豪州は17年、中国による国内での工作活動が問題になったため、外国人の政治献金を禁止する法律を施行した。18年には、安全保障上の懸念から、中国の通信大手ファーウェイと同ZTEを次世代5G通信網の整備から排除。さらに、モリソン首相(当時)が20年、新型コロナウイルスの発生源に関する独立調査を中国に要求すると、両国の摩擦は決定的となった。

 中国は、豪州産の石炭、銅鉱石、牛肉、大麦、ワイン、綿花、ロブスター、木材の8品目に高い関税を課すか、通関をストップするなどして報復した。

累積額は依然世界2位の高水準

 中国政府は資金の国外流出に対する規制も強めている。加えて、豪外国投資審査委員会(FIRB)が中国企業の申請手続きを厳格化していることも、中国の対豪投資が減少している要因の1つと見られる。

 中国の対外投資は欧州(134億米ドル)、南米(113億米ドル)などにシフトしているという。ただ、2005年から2021年までの累積で見ると、対豪直接投資額は1,027億米ドルと米国(1,889億米ドル)に次いで依然として2位につけている。3位は英国の973億米ドルとなっている。

■ソース

Demystifying Chinese Investment in Australia 2022

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