手数料無料の後払いサービス、政府は規制強化へ
バイ・ナウ・ペイ・レイター(今買って後で払う=BNPL)−−。「アフターペイ」や「ジップ」といった手数料なしで分割払いができる新手の後払いサービスが、コロナ禍の巣ごもり需要の追い風もあって普及している。しかし、公共放送ABCの時事番組「セブン・サーティー」によると、信用がなくても気軽に利用できる反面、支払いの遅延が増えているという。
豪州のBNPL決済金額は、コロナ禍前の3年前の56億豪ドルから昨年度には119億豪ドルと2倍以上に拡大した。実働しているBNPL口座数は、590万件に達している。セブン・サーティーが入手した豪金融業界委員会(AFIA)の調査によると、調査対象1,746人のうち38%がBNPLサービスを利用した経験があると回答した。
しかし、クレジットカードのような厳しい審査なしで利用できるため、信用力の低い消費者が支払い能力以上の買い物をしてしまうリスクがある。AFIAによると、支払いが滞っている利用者は全体の18%に達しているという。
BNPLは、手数料を利用者からではなく販売店から徴収して収益を得るビジネスモデル。利用者にとっては、一括払いと同じ金額で分割払いできることが利点だが、支払いが滞れば高い違約金が請求される。支払い能力を超えた買い物を繰り返して支払いの遅延が相次げば、高い返済コストに悩まされることになる。
現行法では、BNPLはクレジットカードのような厳しい金融規制の対象外にある。焦げ付きが増えれば、金融システム全体が信用不安に陥りかねない。このため、労働党の新政権はBNPLの規制強化を検討している。
スティーブン・ジョーンズ連邦金融サービス相はセブン・サーティーのインタビューで「信用審査という最低限の消費者保護策が必要なのは明らかだ」と述べた。今後1年以内にBNPL規制法案を議会に提出する方針だ。
■ソース
Australians double spending through buy now, pay later services, to $11.9bn (ABC News)