連邦財務省が最新の経済見通し発表
ジム・チャーマーズ連邦財務相は28日、連邦議会で演説を行い、最新の経済見通しを発表した。5月の連邦選挙で9年ぶりに政権を奪回した労働党政権下で、前保守政権の経済見通しを更新。インフレ圧力は来年以降沈静化するものの、実質賃金の上昇にはまだ時間がかかるとの認識を示した。
これによると、豪州経済が抱える最大の課題であるインフレは今後も強まり、消費者物価指数(CPI)は今年12月四半期に前年同期比7.75%で天井を打つ見込みだ。選挙前に前政権が予測していたインフレ率のピークは同4.25%だったが、豪統計局(ABS)が27日に公表した6月四半期のCPIは同6.1%まで加速している。
CPIは2023年央までに5.5%、23年末に3.25%まで低下し、24年央に2.75%と中央銀行の豪準備銀(RBA)が目標とする2〜3%の範囲内に落ち着くと予想している。
また、実質国内総生産(GDP)の成長率は、21/22年度が選挙前の4.25%から3,75%に、22/23年度が同3.5%から3.0%に、23/24年度が2.5%から2.0%にそれぞれ下方修正した。世界経済の減速に加え、高いインフレと金利上昇による消費の減退が経済成長の足を引っ張る見通しだ。
成長の減速は、雇用や実質賃金の伸びにもマイナスの影響を与えるとしている。直近の6月に3.5%まで低下した失業率は今年いっぱい低水準で推移するものの、23年6月には3.75%、24年6月には4.0%まで上昇すると予測した。
今後1〜2年は、物価上昇が賃金の伸びを上回る状況が続きそうだ。高いインフレを背景に、22/23年度と23/24年度の名目賃金の上昇率は、いずれも従来予想の3.25%から3.75%に上方修正した。しかし、インフレの影響を加味した「実質賃金の上昇は23/24年度まで期待できない」との見方を示している。