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モリソン前首相の道義的責任は重大 「責任ある政府の原理を傷付けた」と法務次官見解

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前首相が秘密裏に5閣僚を重複して兼務していた問題で

Photo: Daniel Morton on Unsplash

 スコット・モリソン前首相(連邦下院議員=5月の連邦選挙で敗北して首相辞任)が、コロナ対策で首相の権限を集中させるために秘密裏に5つの連邦閣僚を重複して兼任していた問題をめぐり、アンソニー・アルバニージー首相は23日、スティーブン・ドナヒュー法務次官による法的見解を公表した。現地メディアが報じた。

 これによると、同法務次官は、国家元首である英国王の代理人を務める連邦総督が、首相の助言に基づいて閣僚の兼任を任命したことについて、豪州憲法第64条に照らして合憲と判断した。その上で、前首相が重複して兼務した5閣僚のうち産業・科学・エネルギー・資源相に関しては、閣僚や議会、国民に知らせず秘密裏に就任したことは「責任ある政府の原理原則を著しく傷つけた」として、道義的責任は重大だとの認識を示した。

 公式見解の公表を受けて、アルバニージー首相は問題を解明する調査委員会を発足させると発表した。首相は「事実関係と法的な問題を追求するために、経験豊富な法律専門家に調査委員会を率いてもらう。今後同じことが起きないように改革案を提示してもらいたい」と語った。

 モリソン前首相は新型コロナの感染が拡大した20年3月から21年4月までに、保健相、予算相、産業・科学・エネルギー・資源相、内務相、財務相の5つの連邦閣僚を重複して兼任。いずれもその事実を公にしていなかった。前首相は敏速なコロナ対策の実行に必要な措置だったと釈明しているが、「民主主義に反する強権的な行為」だとして与野党から議員辞職を求める声が高まっている。

 問題が明るみになったことを受けて、連邦首相府は15日、政府に法的助言を行う法務省事務方トップのドナヒュー法務次官に法的見解を示すよう要請していた。

■ソース

Scott Morrison’s appointment valid but inconsistent with convention, solicitor-general finds(ABC News)

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