8月の豪住宅価格指数1.6%低下、約40年ぶりの下落幅に
政策金利の急激な引き上げに追従した住宅ローン金利の上昇を受けて、オーストラリアの不動産価格の下落が加速している。
民間の不動産調査会社「コアロジック」によると、同社が算出した8月末時点の全国の住宅価格指数(HVI)は、前月末と比べて1.6%低下し、月間では1983年以来最大の下げ幅を記録した。下落は4カ月連続。前期比(前四半期末との比較)では3.4%の下落。年間では4.7%の上昇を維持した。
地域別では、東部の最大都市シドニーが前月比2.3%下落(前期比5.9%下落、前年同月比2.5%下落)と下げ幅が最大だった。続いて、北東部ブリスベンが前月比1.8%下落(前期比2.5%下落、前年同月比17.5%上昇)、南部の第2の都市メルボルンが前月比1.2%下落(前期比3.8%下落、前年同月比2.1%下落)などとなっている。
依然としてコロナ前を上回る水準
直近で下落傾向が続いているものの、オーストラリア主要都市の住宅価格は依然として高い水準にある。8月末時点の住宅価格の中央値は、シドニーが106万6,493豪ドル、メルボルンが78万2,053豪ドル、ブリスベンが76万2,284豪ドル、州都全体が80万8,287豪ドル、地方を含む全国が73万8,231豪ドルとなっている。
このところの下落にもかかわらず、コアロジックによると、州都(メルボルンを除く)と地方部の住宅価格指数は、コロナ禍直前の2020年3月と比べて、まだ15%以上高い水準にある。だが、コアロジックのティム・ローレス調査部長は、不動産価格の下落が少なくとも年末まで、場合によっては来年まで続くと予測している。反転のカギを握るのは金利と景気の動向だ。
「金利がピークアウトして、消費者心理が改善するまで、住宅価格が安定するかどうかを見極めるのは難しい。金利は現時点の水準からさらに0.75ポイント上昇する公算が高い。このため、(南半球の)春に売り物件の在庫が増える可能性が高い。買い手にとっては選択肢が広がり、不動産価格をさらに押し下げる圧力がかかるだろう」(ローレス調査部長)