水産業界が働きかけ 労働党政権も前向きに検討
オーストラリアのレストランで、シーフードの原産国表示を義務付ける動きが出ている。寿司店などの経営者にとっては仕事が増えてしまうが、水産業界は国産魚介類の販売促進につながるとして政府に働きかけている。5月の連邦選挙で肉や野菜の原産国表示の強化を公約に掲げた労働党政権も、シーフードの原産国表示に前向きの姿勢を示している。
現行制度では、原産国表示はスーパーなどの小売店の食料品には義務付けられているが、飲食店には義務はない。公共放送ABC(電子版)によると、西オーストラリア(WA)州漁業者委員会(WAFIC)などの水産団体は長年、国産品の消費を増やすことを目的に、表示義務化を政府に訴えてきた。
これに対し、マレー・ワット連邦農林水産相はこのほど、WAFICに宛てた書簡の中で、外食産業の原産国表示義務化を支持する考えを示したという。
WAFICのダリル・ホッキー代表は「今の政権のうちに原産国表示を導入できるよう、様々な選択肢を検討するため、彼(大臣)は私たちと協力してくれることになった。調和の取れた形で導入を図るため、外食産業とも協議していくと言ってくれた」と述べた。
ホッキー代表は、飲食店が提供するシーフードについても、小売業界での原産国表示義務と同様に透明性が確保されるべきだと考えている。
「WA州で消費されるシーフードの70%が輸入されていて、国産は30%しかない。お客さんには、自分が何を消費しているのか知らされた上で選択する権利がある。(原産国表示の義務化は)誠意ある対応だと考えている」(ホッキー代表)
一方、食品表示規制を所管するエド・ヒューシック連邦産業・科学相は、ABCに対して「水産業界と外食産業と話し合いながら、表示義務を導入するための選択肢を検討していく」と語った。