豪東部のほとんどで、降水量が平年を上回る確率8割超
オーストラリア大陸東部で、今年の夏も雨が多くなるのはほぼ確実なようだ。オーストラリア気象局(BOM)は13日、東部に多雨をもたらすことが多いラニーニャ現象の発生を正式に宣言した。ラニーニャの発生は3シーズン連続。気象局は、人口の大半が住む東部で大雨や洪水に備えるよう注意を促している。
気象局の3カ月予報によると、オーストラリア大陸の東半分のほとんどの地域と、タスマニア島東部では、降水量が平年を上回る可能性が非常に高いという。
ラニーニャは、南米沖の太平洋東部熱帯域で海水温が低下する一方、オーストラリア北東沖の太平洋西部熱帯域の海水温が上昇する現象。これが太平洋上の風や雲、気圧配置に影響を与え、オーストラリア大陸の広い範囲で降水量の増加をもたらすとされる。
ラニーニャが3年連続で発生するのは珍しく、1900年以降3回しか起きていない。いずれの局面でも、豪州では大規模な洪水被害が発生しており、注意が必要だ。
3つの気象データが多雨で一致
多雨の予報を裏付けるデータは、ほかにもある。気象局の長期予報部門の責任者を務めるアンドリュー・ワトキンス博士によると、インド洋熱帯域の海水温の偏りを表す「ダイポールモード現象」(Indian Ocean Dipole=IOD)が強い負の値を、南半球の中高緯度帯の大気変動を表す「南半球環状モード」(Southern Annular Mode=SAM)が正の値をそれぞれ示している。
ラニーニャに加えて、これらの2つの指標も、東海岸を中心に降水量が増える可能性が高いことを示しているという。
ワトキンス博士は「これらのすべての気象的な影響により、オーストラリアは雨がより多い段階に向かっている。オーストラリア大陸の東半分の大半では今後数カ月間、降水量が平年を上回る確率が80%を超える見通しだ」と指摘した。
東部では、これまでの雨で貯水率が既に上昇しているダムが多いことから、気象局は引き続き洪水に警戒するよう呼びかけている。