消費者心理指数は世界金融危機やコロナショック以来の低水準
オーストラリアの景気に関する評価が、消費者と企業で大きくかけ離れている。加速するインフレを背景に消費者マインドが冷え込む一方で、企業の景況感は高い水準にある。公共放送ABC(電子版)が伝えている。
ウェストパック銀メルボルン研究所が13日に発表した9月の消費者心理指数は84.4ポイントと前月比で3.9%改善したものの、「中立」の100ポイントを依然として大幅に下回り、「非常に悲観的」とされる80〜85ポイントの範囲内にある。
景気を占う上で重要な指標とされる同指数は、1年前の21年9月(106.2ポイント)と比較して20.5%低い。2008年の世界金融危機や20年の新型コロナショックに匹敵する低水準に沈んでいる。物価上昇と実質賃金の低下が、消費マインドを冷え込ませていることがうかがえる。
ところが、企業は景気の動向を楽観的に見ている。ナショナル・オーストラリア銀(NAB)が13日に発表した調査によると、8月の企業景況感指数(季節調整値)はプラス10ポイントと、6月の2ポイント、7月の8ポイントから上昇が続いている。
消費者は高い物価を受け入れている
主な経済指標によると、今のところ景気が悪化する兆しは見られない。7月の失業率は3.4%と1974年以来の歴史的な低水準にあり、直近6月四半期の実質国内総生産(GDP)成長率は前年同期比3.6%増と好調で、旅行などのリバウンド消費や輸出が成長をけん引している。
米シティ銀のエコノミストはABCに「景気の先行きについての認識が、一般家庭と企業で食い違っていることは間違いない。ただ、家計の需要は消費マインドに先行して表れる。消費者心理指数にかかわらず、実際には消費者が高い物価を受容していることを示している」と指摘した。
景気の先行きは、中央銀行の豪準備銀(RBA)がどこまで金利を引き上げるかにも左右される。シティ銀はRBAが政策金利(現状2.35%)を10月、11月、12月に0.25ポイントずつ引き上げ、年末までに3.1%にすると予測。ウェストパック銀は、来年2月にさらに0.25ポイントの利上げがあり、同金利は3.35%でピークアウトすると見ている。
■ソース
‘Chasm’ between weak consumers and booming businesses widens. How and when will it close?(ABC News)