ロウ豪準備銀総裁、連邦議会で証言
豪準備銀(中央銀行)のフィリップ・ロウ総裁は16日、連邦下院の経済委員会で金融政策について証言し、インフレを抑え込むために今後も利上げを続ける必要があるものの、次第に利上げのペースは鈍化すると指摘した。
オーストラリアは現在、今世紀に入って最大規模のインフレに見舞われている。直近6月四半期の消費者物価指数(CPI)は前年同期比6.1%まで上昇した。これは、消費税に相当する10%の財・サービス税(GST)導入の影響を受けた2000年9月期と01年6月期(いずれも6.1%)に並ぶ約20年ぶりの水準。増税の特殊要因を除けば、1990年以来実に32年ぶりの物価上昇に直面している。
ロウ総裁はインフレの原因について、◇ロシアのウクライナ侵攻による世界的なエネルギー高騰、◇コロナ禍を背景とした地球規模の供給制約、◇商品の受給ひっ迫など、海外由来の複合的な要因が大きいと指摘した。加えてオーストラリアでも、◇供給が需要に追いついていないこと、◇労働市場がひっ迫していること、◇建設業や住宅産業などで供給が不足していることなどを挙げ、国内要因も小さくないとの見方を示した。コロナ経済対策の緩和マネーも、国内の力強い需要につながっている。
RBAは加速するインフレを抑え込むため、今年5月に12年ぶりとなる利上げ(0.25ポイント)に踏み切った。続いて、6月から9月まで4カ月連続で異例の0.5ポイントの利上げを実施し、政策金利を年初の0.10%から2.35%まで引き上げている。ロウ総裁は、金融引き締め効果が表れるまでには時間差があるとして、CPIは12月末までに最大7.75%まで上昇した後下落に転じ、24年に3%前後まで沈静化すると予測している。
こうした現状と今後の見通しを踏まえ、ロウ総裁は「インフレを2〜3%の目標まで抑え込むには、今後もさらなる政策金利を引き上げが必要だ」と述べた。その上で同総裁は「ある時点で利上げのペースを鈍化させることが適切だ」との認識を示し、「(インフレ抑制と景気悪化回避の両立させる)狭い道筋へのソフトランディング(軟着陸)」を目指す考えを強調した。