空中発射式の衛星打ち上げ拠点、QLD州トゥウーンバに整備へ
オーストラリア東部クイーンズランド(QLD)州南東部トゥウーンバにある地方空港、ウェルキャンプ空港を「宇宙港」とする計画が具体化している。20日付の公共放送ABC(電子版)によると、宇宙開発企業の米ヴァージン・オービットと、空港を所有する豪ワグナー・コーポレーションがこのほど、空中発射式の衛星打ち上げ拠点として整備することで合意した。
ヴァージン・オービットは、英ヴァージン・グループの創業者で富豪のリチャード・ブランソン氏が率いる宇宙開発大手ヴァージン・ギャラクティックから派生し、航空機から安価に人工衛星を打ち上げる事業に特化している。
打ち上げシステムはこうだ。まず空港からボーイング747型機を離陸させ、空中で主翼の下に積んだロケットを切り離す。ロケットのエンジンに点火して宇宙空間まで打ち上げ、ロケットから衛星を射出して軌道上に乗せる。
空中発射式は小型の衛星に限られるものの、地上からロケットで打ち上げる方法と比べて、費用を格段に抑えることができるメリットがある。今年7月には、米国のモハベ砂漠から米宇宙軍の試験衛星を打ち上げるミッションに成功している。
ワグナーによると、当局の認可が下りれば早くて2024年には1回目の試験的な打ち上げを行う計画だという。実現すれば、モハベ砂漠、英国のコーンウォールに続き、ヴァージンオービットの3番目の拠点になる。
ヴァージンオービットのダン・ハート最高経営責任者(CEO)は「ワグナーにはインフラ開発に関する深い知見があり、私たちには空中衛星打ち上げシステム『ランチャーワン』の実績がある。QLD州で宇宙航行を実現するためのすべての要素を備えている」とコメントしている。
■ソース
Virgin Orbit chooses Wellcamp Airport in Queensland to launch rockets within two years(ABC News)