「直ちに値上げされるべきではない」と政府
オーストラリア連邦政府は、ガソリンや軽油の燃料税減税措置を9月29日以降、延長しない方針だ。既に減税が適用されている燃料の備蓄が豊富にあるため、直ちに値上げされるべきではないと主張している。
無鉛ガソリンと軽油の燃料税は通常、1リットル当たり44.2豪セント。政府は今年3月末、ロシアによるウクライナ侵攻に伴う世界的なエネルギー危機を背景に、国内の燃料価格が高騰したことから、家計の負担を減らすため、税率を半分の22.1豪セントに削減していた。
減税分が販売価格にすべて反映された場合、物価指数の連動と財・サービス税(GST)を含めて、ガソリン価格は1リットル当たり25.3豪セント上昇すると見られている。
減税分の備蓄は7億リットルもある
公共放送ABC(電子版)によると、ジム・チャーマーズ連邦財務相は「減税が失効した時点で、減税がすでに適用されている燃料の備蓄は推定7億リットルある」と述べ、燃料税の引き上げが直ちに販売価格に転化されるべきではないと主張した。
また、チャーマーズ財務相は「全国の大半の地域では、ガソリン価格は現在、7月の最高値から1リットル当たり約50セント下がっている」として、減税廃止による家計への影響は小さいとの認識を示した。
政府はガソリン価格が落ち着いてきたことため、税収を確保する観点から減税を予定通り打ち切る。ABCによると、燃料税減税によって政府の税収は約30億豪ドル減少したという。
とはいえ、減税が廃止されれば、便乗値上げに走るガソリンスタンドが出てきても不思議ではない。燃料価格の動向を監視している豪競争消費者委員会(ACCC)は、減税廃止に伴う不適正な価格操作や競争原理に反する動きなどがあれば、「告発も辞さない」と警告している。
■ソース
End of fuel excise discount shouldn’t cause immediate petrol price spike, Treasurer says(ABC News)