北部準州で生産開始 テスラに供給
電気自動車(EV)用電池の主原料リチウムの資源が豊富なオーストラリアでは、本格的なEV時代の到来をにらみ争奪戦が始まっている。北部準州(NT)では、豪リチウム採掘企業「コア・リチウム」(本社アデレード)が10日までに新鉱山の操業を開始した。
公共放送ABC(電子版)によると、操業を開始したのは、ダーウィンの南西約80キロにあるフィニス・リチウム鉱山。コア・リチウムは今後12年間にわたり、1,600万トン以上(鉱石ベース)のリチウムを生産して海外に輸出する。同社は今後4年間、EV最大手の米テスラに11万トン(精製後の酸化リチウムベース)を供給する契約を締結している。これは同鉱山の生産能力の約25%に相当するという。
オーストラリアのリチウム生産はこれまで西オーストラリア州内の鉱山に限られていたが、NTでのリチウム鉱山の操業開始は今回が初めて。
コア・リチウムのギャレス・マンダーソン最高経営責任者(CEO)は「どの予測を見ても、EVの需要は今後拡大していく一方だ。需要に応じるには、今よりはるかに多くのリチウム鉱石と酸化リチウムが必要になる」と述べた。
オーストラリアでは、新規のリチウム開発事業が続々と立ち上がっている。西オーストラリア(WA)州パースの豪資源企業「ライオンタウン・リゾーシーズ」は、WA州キャスリーン・バレーのリチウム鉱山を開発。今年5月から6月にかけて、米フォード・モーター、テスラ、韓国の電池大手LGエナジーソリューションの3社と相次いでリチウムの長期供給契約を結んだ。
米地質調査所(USGS)によると、2021年のオーストラリアのリチウム生産量は5万5,000トンと世界1位。現時点で確認されている資源量は570万トンと1位のチリ(920万トン)に次いで2位となっている。
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