シドニー「ザ・スター」に罰金1億豪ドル、カジノ免許停止
オーストラリア東部ニュー・サウス・ウェールズ(NSW)州の独立カジノ委員会(NICC)は17日、シドニーの統合型リゾート(IR)「ザ・スター」を運営する豪カジノ大手「ザ・スター・エンターテインメント・グループ」に対し、カジノ免許の停止と罰金1億豪ドルの支払いを命じた。公共放送ABC(電子版)が報じている。
同カジノをめぐっては、◇犯罪組織によるマネーロンダリング(資金洗浄)を許していたこと、◇犯罪組織をカジノ内部の侵入させていたこと、◇これらの証拠を隠滅しようとしたことなどが、9月に発表されたNICCの報告書で明るみに出ていた。
NICCのフィリップ・クローフォード委員長は報告書の発表にあたり、「この企業の組織的な散漫さには驚いた。業績目標を達成するために危険を顧みない姿勢は、ぞっとするものがある。我々の懸念はザ・スターの企業文化にある。短期間で修正できるとは思えない」と述べ、犯罪に手を貸した社内体質を切り捨てていた。
90日間は営業継続
ザ・スターは免許を停止されたものの、免許を持つ新しい現場責任者の下で少なくとも90日間営業を続けることが許される。しかし、クローフォード委員長は、同カジノが信頼を取り戻すまでにはより長い時間がかかる可能性があるとしている。
1億豪ドルは、NSW州政府が今年8月に施行した新しいカジノ規制法が定める最大の罰金額となっている。
同カジノは1995年、シドニー市内西部ピアモントで、NSW州初のカジノとして「スター・シティ」の名称で暫定開業。97年に国内第2の規模を持つIRとして本格オープンした。豪米の企業連合からギャンブル大手タブコープの手に移り、後にザ・スター・エンターテインメント・グループが買収。改修工事を経て11年に「ザ・スター」に改称して再オープンしていた。
シドニーのカジノをめぐっては、黒い影が絶えない。ライバルの豪カジノ大手「クラウン・リゾーツ」が2020年、市内西岸バランガルー地区に完成させた高さ271メートルのIR「クラウン・シドニー」。レストランやホテルは先行開業したものの、シドニーで2番目となった目玉のカジノは、裁判所がクラウン・リゾーツをカジノ免許保持者として不適切と認定するなど開業が遅れた。米投資会社ブラックストーンが同社を買収した後、今年8月になってようやくオープンにこぎ着けている。
■ソース
Star’s Sydney casino licence to be suspended this week in wake of damning inquiry(ABC News)