岸田首相が来豪
オーストラリア訪問中の岸田文雄首相は22日、西部パースでアンソニー・アルバニージー首相と日豪首脳会談を行った。両首脳は新たな「安全保障協力に関する日豪共同宣言」に署名し、日豪両国が「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた連携の強化を改めて表明した。
中国の海洋進出やロシアによるウクライナ侵攻など近年の国際情勢の変化に合わせて2007年に署名した共同宣言を更新し、国防・経済安保面でよりいっそうの関係緊密化を図る。
日豪は07年に初の安保共同宣言、2014年に「特別な戦略的パートナーシップ」をそれぞれ締結するなど、従来の経済協力だけではなく国防分野での協力を推進してきた。新共同宣言(原文は英語。現時点で日本語版は未発表)では「日豪首脳は両国にとって不可欠な『特別な戦略パートナーシップ』を更新する。(これは)包括的で弾力性のある『自由で開かれたインド太平洋』の柱となるものである」と明記した。
その上で、◇主権と領土の尊重、◇侵略行為を抑止するための戦略的バランス、◇航行の自由、◇サイバー空間や宇宙、技術・通信における脅威への対応、◇侵略や弾圧、情報操作、サイバー攻撃などに加え、疫病の流行、自然災害、気候変動などの世界的課題への対応、◇法の支配の下での市場原理に基づく貿易・投資制度による地域経済の統合といった課題に取り組み、「自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて、両国は強い意思を確認する」とした。
こうした共通の目標の下で、日豪両国は今後10年間、年次の首脳相互訪問、外務・防衛大臣会合、そのほかの政府高官の対話、諜報面での協力などを通して連携を強化する。また、日豪の安全保障にとって、米国との「3国間」の協力を深化させることが不可欠だと指摘。自衛隊と豪国防軍の合同演習や施設の共有などを通して防衛協力も推進する。日豪と東南アジア諸国連合(ASEAN)の連携も進めるとしている。
新共同宣言の署名について、アルバニージー首相は「価値観と利益を共有する豪州と日本の関係は地域全体を利するものである。私たちは共同で、安定した、開かれた、繁栄したインド太平洋を実現するために互いの努力を加速させていく」と述べ、新共同宣言が「今後10年間の日豪の安保協力の羅針盤になる」と指摘した。
■ソース
AUSTRALIA-JAPAN JOINT DECLARATION ON SECURITY COOPERATION(安全保障協力に関する日豪共同宣言・英語原文/連邦首相府)
AUSTRALIA AND JAPAN STRENGTHEN SECURITY COOPERATION(連邦首相府メディアリリース)