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【速報】労働党政権初の連邦予算案発表

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赤字は369億豪ドルに縮小 生活コスト負担軽減図る

 オーストラリアの連邦政府は25日、2022/23年度(豪会計年度は22年7月1日〜23年6月30日)の国家予算案を発表した。予算書によると、歳出は前年度比7.8%増の6,441億豪ドル(約60兆5,000億円=国内総生産=GDPの25.9%)、歳入が同3.9%増の6,072億豪ドル(約57兆円=同24.5%)となる見通しだ。

 歳入から歳出を引いた単年度の財政収支は、369億豪ドル(約3兆4,700億円=同1.5%)の赤字を見込む。実質累積債務は5,722億豪ドル(約53兆8,000億円)と前年度から11%増え、GDPの23%に達する。

 歳出面の目玉としては、託児費用や有給育児休暇の給付金拡大、医薬品の負担軽減、今後5年間で100万戸の住宅建設などを盛り込んだ。32年ぶりとなる激しい物価高を背景に実質賃金が目減りし、国民生活を圧迫する中で、生活コスト上昇の緩和策として57億豪ドルを投じるが、財政支出の拡大はインフレをさらに悪化させるリスクもはらむ。

 一方、歳入面では、単年度の赤字額は前政権の予測(780億豪ドル)から約400億豪ドル低くなる見通しとなった。オーストラリアの主要輸出商品である資源・エネルギーの高騰で法人税収が伸び、好調な雇用情勢を背景に所得税収も拡大するためだ。

 ジム・チャーマーズ連邦財務相は同日夜、キャンベラの連邦議会で行った予算案演説で、◇生活コストの上昇を和らげること、◇より強く近代的な経済への投資、◇財政収支の改善に向けたスタート、の3点を重点課題に挙げた。

 その上で、同財務相は「過去15年間で3度目の世界的な景気減速に直面しようとしている。今回は、金融危機や感染症の拡大ではなく、グローバルな物価高と金利上昇を招いている戦争だ」と述べ、オーストラリアが今後、世界的な景気後退で打撃を受ける可能性があるとの見方を示した。

 連邦予算案は通常、新年度が始まる前の毎年5月に発表される。今年は5月に連邦選挙が実施されたため、前保守連合政権が実質的な選挙公約として3月に発表を前倒ししていた。しかし、選挙の結果、労働党が9年ぶりに政権を奪回し、予算案を全面的に作り直した。その結果、同じ年度の予算案が異なる政権によって2度発表されるという異例の事態が起きた。

■ソース
BUDGET STRATEGY AND OUTLOOK BUDGET PAPER NO.1(2022/23年度連邦予算案/オーストラリア連邦財務省)

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