オーストラリアでEV減税は実現するのか

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連邦上院で審議 緑の党がPHEV適用に反対

Photo: Michael Marais on Unslpash

 オーストラリアの連邦与党、労働党が5月の選挙で公約した電気自動車(EV)の減税法案の審議が、連邦上院で難航している。上院でキャスチングボートを握る左派のグリーンズ(緑の党)が与党案に反対しているため、年内の成立が危ぶまれている。公共放送ABC(電子版)が伝えている。

 労働党は選挙で温室効果ガスを2030年までに2005年比で43%削減すると表明し、削減法案を既に成立させた。削減策の一環として電気自動車(EV)普及策を公約。①EVのフリンジベネフィット税(FBT=現金以外の福利厚生などの報酬にかかる税金)免除、②輸入車にかかる関税5%の撤廃、の2つを打ち出している。

 ②の実質的な効果は小さいと見られる。オーストラリア日本や米国、中国などの自動車の主要輸入先と自由貿易協定(FTA)を締結しており、既に関税が撤廃されているからだ。例えば、オーストラリアで最も売れているEVである米テスラの「モデル3」は中国の工場で生産されているが、既に関税はゼロとなっている。

 また、EVの関税撤廃は、高級車税がかかる8万4,916豪ドル(低燃費車の場合)以上のモデルは適用外となっている。実際販売されているEVはこの金額以上の高級車が大半を占めていて、関税撤廃が適用されるEVの車種は少ない。

 この一方で、FBT免除はEV普及の推進剤となる可能性がある。オーストラリアでは社用車を従業員に貸与することは報酬の一環として一般化しており、FBTの対象となっているからだ。

 労働党は、FBT免除で企業は1台当たり9,000豪ドルの節税になり、関税撤廃により5万豪ドルのEV1台当たり約2,000豪ドル安くなるとしていた。

緑の党がPHEV適用に反対する理由とは?

 EVのFBT免除法案は現在、連邦上院で審議中だ。与党案が免税対象とする電動車には、①モーターだけで走るバッテリーEV(BEV)、②水素燃料電池車、③エンジン付きで充電可能なプラグイン・ハイブリッド車(PHEV)の3種類が含まれている。

 しかし、グリーンズはPHEVを免税対象から外すべきだと主張し、与党案に反対している。PHEVはガソリン車より温室効果ガスの排出量は少ないものの、エンジンを搭載しているからだ。厳格な環境保護政策を採るグリーンズとしては、少しでも化石燃料を燃やす車を免税とするわけにはいかない。

 一方、労働党は、地方に住むドライバーには「航続距離に関する懸念」があるとして、グリーンズが要求するPHEVの除外に応じていない。

 BEVは一般的にガソリン車と比べ、1回の充電で走ることができる航続距離が短く、充電ステーションなどのインフラもまだ十分に整っていないからだ。PHEVなら電池が切れても、エンジンで発電した電力でモーターを回して走行できる。

 議会の審議日程は今後、クリスマスまで3週間を残すのみ。与党は職場関係法改正や反汚職・腐敗委員会設立など重要法案の成立を急いでいる。EV減税法案をめぐるグリーンズや無所属議員らとの調整が年内に決着するどうかは、微妙な情勢だという。

■ソース
Electric vehicle legislation stuck in the Senate as Greens and Labor debate what should be included(ABC News)

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