NSW州で導入 初めて住宅を買う人対象に
オーストラリア東部ニュー・サウス・ウェールズ(NSW)州政府で、初めて住宅を買う人を対象に、これまで通り購入時に一度だけ印紙税を払うか、新しい土地税を毎年納めるかを選択できるようになった。土地税を選べば、住宅購入時の負担を減らせるメリットがある。公共放送ABC(電子版)が報じている。
新制度は「ファースト・ホーム・バイヤー・チョイス」と呼ばれ、初めて住宅を買う人が、150万豪ドル以下の住宅または80万豪ドル以下の土地を取得する場合に適用される。購入時の印紙税は金額によって税額が異なる。毎年支払う土地税は400豪ドルに評価額の0.3%を足した金額。購入時の負担は、印紙税よりも土地税の方が少なくなる。
ABCの試算によると、シドニー西方のペンリスで150万豪ドルの住宅を購入した場合、購入時の印紙税は6万7,000豪ドル、土地税は年間2,500豪ドル。同西郊のケンプシーの集合住宅のケースでは、印紙税は3万4,000豪ドル、土地税は年間800豪ドルとなる。
また、NSW州財務省によると、100万豪ドルの住宅を購入して10年後に売却した場合、10年間で支払う土地税は、現在の貨幣価値で合計1万9,881豪ドルとなり、購入時に一度だけ支払う印紙税の4万90豪ドルと比べて、2万209豪ドルの節約になるという。
マット・キーンNSW州財務相は「財政事情に応じて最適な方法を決めることができる。生涯を通して住む家を買う場合は印紙税を選ぶことができるし、限られた期間住む場合は年1回の土地税が適している」と述べた。
11日以降の不動産売買契約に適用されるが、実際に運用が始まるのは来年1月16日以降となる。それまでの購入者が土地税の支払いを選択する場合は、いったん支払った印紙税の払い戻しを受ける形になる。
新制度の法案をめぐっては、最大野党の労働党が、土地税は永続的な税金になり、住宅の購入がより困難になると反対していた。与党保守連合(自由党、国民党)は過半数に満たない上院で、保守系少数勢力の協力を得て法案を通過、成立させた。
新制度は州政府にとって今後4年間で7億2,860万豪ドルの歳出増になると試算されている。労働党は来年3月に実施される州議会選挙で政権交代を実現すれば、新制度を定めた州法を撤回するとしている。
■ソース
Stamp duty legislation passes NSW parliament despite opposition from Labor and Greens(ABC News)