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モリソン前首相への問責動議が可決 豪連邦下院

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法的拘束力なし 前首相は「政治的な報復だ」と反発

オーストラリアのスコット・モリソン前首相

 オーストラリアのスコット・モリソン前首相(自由党)が2020年以降、新型コロナウイルス感染拡大による危機に対処するため、秘密裏に5人の閣僚を兼務していた問題で、連邦下院は30日、前首相に対する問責動議を可決した。

 公共放送ABC(電子版)によると、動議を提出した与党労働党などの賛成多数で可決した。最大野党の保守連合(自由党、国民党)は反対したが、自由党議員1人が賛成票を投じ、同党議員1人が棄権した。問責動議に法的拘束力はないため、モリソン氏は辞職せず下院議員にとどまる。

 首相経験者に対する問責動議が可決されたのは、オーストラリアの政治史上初めて。動議は「(モリソン氏の)閣僚登用を議会と国民、内閣に公表しなかったことは、政府の責任を傷付け、オーストラリアの民主主義に対する国民の信頼を失墜させた」と前首相を非難した。

 一方、モリソン氏は議会でのスピーチで反論。「私の政府は我が国が直面した危機的状況(コロナ禍)に対して立ち向かった」と述べ、秘密裏に閣僚を兼任した判断に誤りがなかったことを強調。その上で同氏は「数の力を使って政敵に報復している現政権の脅迫に対して、私は屈するつもりはない」と与党を批判した。

 モリソン氏はコロナ感染が拡大した20年3月から21年5月までに、首相に権力を集中させるため、保健相、予算相、産業・科学・エネルギー・資源相、内務相、財務相の5つの閣僚をそれぞれ重複して兼務。その事実を公表せず内密に職務を行った。

 現行法では違法性はないとされたが、議会制民主主義の原則を踏みにじる行為だとして、今年5月の選挙で勝利して政権を奪回した与党労働党だけではなく、保守連合の一部からも批判を受けていた。

■ソース
Scott Morrison to face censure motion over secret ministries affair(ABC News)

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