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豪老舗百貨店「デービッド・ジョーンズ」が叩き売られた理由とは? 買収価格の20分の1で売却

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シドニーの投資ファンドが1億豪ドルで南ア企業から取得

シドニー市内エリザベス・ストリートにあるデービッド・ジョーンズの旗艦店(Photo: Wikipedia)

 創業184年の歴史を持つオーストラリアの老舗百貨店「デービッド・ジョーンズ」が、8年前の買収価格の20分の1という「二束三文」の安値で叩き売られることになった。

 シドニーの投資ファンド「アンカレッジ・キャピタル・パートナーズ」は19日、南アフリカの小売大手「ウールワース・ホールディングス・リミテッド」(WHL)からデービッド・ジョーンズを買収すると発表した。来年3月末までに買収を完了するとしている。

 なお、WHLはオーストラリアのスーパー最大手「ウールワース」同じ社名だが、資本関係のない全く別の企業だ。

目論見が外れた南ア企業の事業拡大策

 アンカレッジは買収価格を公式に明らかにしていないが、22日付の公共放送ABC(電子版)は、買収価格を1億豪ドル(約89億円)と伝えている。ABCによると、アンカレッジはこの数字について「否定も肯定もしていない」という。

 デービッド・ジョーンズは、WHLが2014年に20億豪ドル(約1,777億円)で買収。WHLを南半球屈指の小売企業に成長させる原動力にする戦略だったが、結果は不調に終わった。WHLは18年、デービッド・ジョーンズの帳簿上の評価額を10億豪ドル以上減損処理していた。

 報道されている金額が事実なら、デービッド・ジョーンズの価値は8年間で95%縮小し、WHLの買い物は大失敗に終わったことになる。

ネット通販台頭で百貨店は激しく地盤沈下

 デービッド・ジョーンズは、英国植民地時代の1838年、ウェールズ出身の同名の創業者がシドニー市内で皮革や繊維の商品を売る店として旗揚げした。後にオーストラリア初の総合的な百貨店として成長。現在、シドニーのエリザベス・ストリートとメルボルンのバークストリートにある旗艦店を筆頭に、オーストラリアとニュージーランドに43店舗を展開している。

 だが、オンライン・ショッピングの競合他社にシェアを奪われ、デービッド・ジョーンズをはじめとする旧来の百貨店は強い逆風を受けている。市場アナリストのロジャー・モンゴメリー氏はABCに「百貨店が小売業界に君臨した時代は、遠い過去のものになった」と述べた。

「WHLが払った金額の5%でアンカレッジが買ったという事実は、百貨店産業がより小規模で価値の低いビジネスに成り下がったことを証明している」(モンゴメリー氏)

■ソース
David Jones $100m sale to Anchorage Capital Partners reflects declining value of department stores, analysts say(ABC News)

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