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オーストラリアの住宅価格、過去最大の下げ幅 不動産調査会社コアロジック

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ピークからわずか8カ月間で8.4%下落

過去最大の価格下落を記録したオーストラリアの住宅。しかし、価格水準は依然としてコロナ前を大幅に上回っている(Photo: Greg Rivers on Unsplash)

 オーストラリアの有力な不動産調査会社「コアロジック」が毎日集計している全国の住宅価格指数(HVI)は7日、昨年5月7日のピークからの8カ月間で8.4%低下した。直近の最高値からの下落率で比較すると、過去最大を記録した。同社が9日、発表した。

 これによると、下落率だけではなく、ピークからの期間も最短だった。これまで最大の下落率を記録したのは2017年〜19年の8.38%だった。この調整局面では、直近の最高値から最安値までの期間が20カ月かかったが、今回は8カ月と同社が集計を始めて以来、最も短かった。

 コアロジックは「住宅価格が史上最大の下げ幅を記録した最大の要因は、過去に前例のない早いペースの利上げだ。過去8カ月間で政策金利が3ポイント(昨年5月以降、0.1%から3.1%に)引き上げられたため、買い手の借り入れ能力が低下し、購入可能な住宅の価格が下落した。借り入れ能力の低下に加え、高い金利はこれから家を買う人の購入意欲も萎ませた」と指摘した。

 住宅価格は特に3大都市で大きく下落している。ピークからの下落率は最大都市の東部シドニーで13.0%、南部メルボルンで8.6%、ブリスベンで10%に達した。

コロナ前と比べると価格水準はまだ高い

 ただ、今回の調整局面は、コロナ禍の空前の不動産ブームという高い「ゲタ」を履いている形だ。オーストラリアの住宅価格はコロナ禍の景気悪化を阻止するために実施された20年の大規模金融緩和以降、超低金利下で著しく上昇していた。住宅価格は20年9月〜22年5月まで史上最大の28.9%の上昇を記録しており、下がったとはいえ、現在の価格水準は依然としてコロナ前を上回っている。

 同社によると、22年末の全国の住宅価格は5年前と比較して16.0%、10年前と比べて59.8%それぞれ高い水準にあるという。

 今後の見通しについて同社は「今後数カ月間、住宅市場は軟調に推移すると予想される。政策金利は23年に入ってさらに引き上げられると見られる。政策金利の上限について、市場は4%前後、エコノミストの予測の中央値は3.6%と予測している。利上げが持続することによって、買い手の借り入れ能力はさらに低下する。住宅価格の下落は、金利が安定化するまで続くだろう」と分析している。

■ソース
Australian home values officially record the largest decline on record, News & Research, 09 Jan 2023,(CoreLogic)

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