2年連続増も半導体不足や供給制約が試練に
オーストラリアの連邦自動車工業会(FCAI)がこのほど発表した統計によると、2022年の国内新車販売台数は108万1,429台と前年比で3.0%増加した。コロナ禍の反動で14.5%増えた21年に続き2年連続で拡大した。
ただ、過去最高の118万9,116台を記録した2017年と比較するとまだ約11万台少ない水準にとどまっている(グラフ)。
FCAIのトニー・ウェバー代表は声明で「2022年はコロナ禍からの経済再開が進む中で、世界的な半導体不足とサプライチェーンの目詰まりが自動車メーカーと販売網に試練をもたらした」と指摘した。
SUVと小型トラックなどが8割弱に
販売台数を車体のタイプ別で見ると、スポーツ多目的車(SUV)とオーストラリアで人気の高い小型トラック(豪英語で通称「ユート」)の割合が合わせて8割近くに達した。SUVは57万4,632台(53.1%)、小型トラック主体の商用車が25万6,382台(23.7%)と合計78.8%だった。
一方、セダンやハッチバックなど旧来の形状をした乗用車は、20万3,056台と18.8%まで減少している。
SUVが初めて乗用車を上回った17年、車体タイプ別シェアはSUVが39.2%、商用車が19.9%と合計で約6割。乗用車はまだ37.8%のシェアがあった。
この6年間で乗用車からSUVと小型トラックへの需要のシフトが急速に進んだことがうかがえる。
EV比率は3.2%
燃料別では、ガソリン車が53.3%、ディーゼル車が35.0%、ガソリンとモーターを併用するハイブリッド車が7.9%、充電可能なプラグイン・ハイブリッド車が0.6%と内燃機関を積んだ自動車が引き続き大半を占めた。一方、車載電池とモーターのみで走るバッテリー電気自動車(BEV)のシェアは3.2%に達した。
ウェバー代表は「23年は将来の脱炭素社会に向けた政策が導入され、(自動車販売にとって)近年で最も重要な年になるだろう」と述べた。社用車にEVを導入した企業にフリンジ・ベネフィット税(現金以外の報酬に課す税金)を免除する法律が昨年、成立したことを念頭に、EVの普及に期待感を示した。
■ソース
FCAI releases 2022 new car sales data, Media Release, Federal Chamber of Automotive Industries