内紛の憶測 3月州議会選挙に向け波紋
オーストラリア東部ニュー・サウス・ウェールズ州のドミニク・ペロテ州首相(州自由党党首)が12日、2003年に開いた自身の21歳の誕生日パーティーでナチスの制服を着用していたことを告白し、謝罪した問題で、3月25日の州議会選挙で政権奪回を目指す最大野党・労働党のクリス・ミンズ党首は14日、州首相辞任を要求しない考えを表明した。公共放送ABC(電子版)が伝えている。
ミンズ党首は、ペロテ氏の過去の行動について「大きな間違いだ」とした上で、「真摯な謝罪だった。選挙に影響を与えることはないだろう」と述べ、この問題で州首相の責任を追求しない方針だ。
しかし、ミンズ党首は「(政権幹部同士が)互いの政治人生を潰そうと躍起になっている。(州自由党内は)混乱に陥っている。選挙戦に向けて団結できないのに、選挙後にどうやって団結できるのか。州民の問題に向き合っている政党とは到底思えない」と批判した。
同党首としては、あえて州首相交代を求めず、党内の内紛を印象付けることで、選挙戦で与党に打撃を与える狙いがありそうだ。
この問題をめぐっては、ペロテ氏が会見で告白する2日前、事実をつかんでいたデービッド・エリオット州交通相が州首相に直接、問題を提起していたことが報じられている。ペロテ氏は公表される前に告白することで、政治的リスクを最小限に抑えようとした可能性がある。
ペロテ氏とエリオット氏は不仲が伝えられている。選挙まで3カ月を切ったこのタイミングでのスキャンダル。党内の内紛が勃発したのではないかとの憶測を呼んでいる。
ペロテ氏は政治的な脅迫を受けたとの見方を退けている。党首(州首相)辞任も否定している。
■ソース
NSW Labor leader Chris Minns says Dominic Perrottet’s Nazi uniform apology is ‘sincere’(ABC News)