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12月の豪失業率3.5% 歴史的低水準も就労者数1万4,600人減

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「年末に失業率5.0%」との悲観論も

 オーストラリア統計局(ABS)が19日発表した雇用統計によると、2022年12月の失業率は3.5%(季節調整済み)と前月と同じだった。失業率は経済再開と人手不足を背景に同年10月に3.4%と48年ぶりの低水準を記録していた。人材の需要に対して供給が依然として不足していることが示された。

 ただ、就業者数は1万4,600人減って1,374万7,100人(前月比0.1%減)となった一方、失業者数は5,800人増えて49万9,800人(1.2%増)となった。

 就業者数の減少は市場にサプライズと受け止められた。公共放送ABC(電子版)によると、ロイター通信の予測は、失業率は3.4%、就業者数は2万2,500人の増加だった。

高技能移民の受け入れ拡大にカギ

 雇用情勢の先行きについては、エコノミストの間で見方が分かれる。

 英経済調査会社「キャピタル・エコノミクス」のマーセル・シーリアント氏は、顧客向けのリポートで、失業率が10月の3.4%を底に今後、悪化していくと分析した。

「失業率が本格的に上昇し始めるまで、長くはかからないでしょう。(渡航の通常化によって)移民の純増数が記録的な水準となっていることから、雇用市場全体は過去数カ月間より早いペースで拡大しています。その一方で、求人件数は2四半期連続で減少しています。特に高技能職の求人件数は(22年)6月のピークから約10%減っています。こうした数字から、失業率はすぐに3.7%まで上昇し、年末までには5.0%に達すると予測しています」(シーリアント氏)

 一方、ANZ銀のキャサリン・バーチ上級エコノミストはABCのインタビューで、最新の調査では求人件数が依然として44万件以上と高水準にあるため、失業率は今年1年を通して「3%台半ば」を維持するとの展望を示している。

「(コロナ禍で停止していた)移民受け入れの再開は、雇用のマッチングを促進しています。特に、私たちが必要としている特定の分野で、高い技能と経験を持つ人材の雇用を促します。彼らがオーストラリアに来れば雇用市場に人材を供給するだけではなく、物やサービス、住宅、交通などあらゆることに出費するので、(経済全体の)需要を増やすことにもつながるのです」(バーチ上級エコノミスト)

■ソース
Labour Force, Australia(Australian Bureau of Statistics)
Shock job losses in December drive unemployment to 3.5 per cent(ABC News)

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