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日本で拘束のオーストラリア人女性 「ロマンス詐欺」の被害者と家族主張 現地報道

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薬物の運び屋にさせられたか

 オーストラリア人女性が日本の司法当局に身柄を拘束され、家族と連絡が取れなくなっている。複数の現地メディアによると、女性の家族は、いわゆる「ロマンス詐欺」の被害に遭い、違法薬物の運び屋をさせられたと主張している。

 26日付の公共放送ABC(電子版)などによると、成田空港で入国時に身柄を拘束されたと見られるのは、パース在住のドナ・ネルソンさん(56歳)。先住民アボリジニの出身で、地元のアボリジニを支援する複数の慈善団体で要職を務めていた人物。昨年5月の連邦選挙では、落選したものの、環境保護政党「グリーンズ」(緑の党)から立候補していた。

 ネルソンさんの娘らがABCに明らかにしたところによると、ネルソンさんは1月初めに日本を訪れる数カ月前から、オンラインで知り合った男と連絡を取り合っていた。男は高級服飾ブランドのオーナーを名乗り、日本の居住許可証の写しを見せて信用させ、航空料金を支払って、ネルソンさんを日本に招待した。

 ネルソンさんの長女、クリスタル・ヒレアさんは、母が男とビデオ通話しているところを目撃したこともあったという。ヒレアさんは「男は母と同年代か年上。いつもメガネをかけていて頭髪を剃っていて小ぎれいな感じだった」と述べた。

 不審な様子はなかったものの、ヒレアさんは母に「お金を貸してくれと言われても絶対に送金してはいけない。銀行口座も教えてはダメだ」と忠告していたという。ヒレアさんは「母がもっと悪い犯罪の標的になっていたとは、夢にも思わなかった」と話している。

 ヒレアさんらによると、男はラオスなど複数の国を経由して日本に行く航空券をネルソンさんのために予約。ネルソンさんはオーストラリアを出発した。ネルソンさんがラオスから娘らにビデオ通話した時は、元気そうだったという。

 ところが、1月3日を最後に家族はネルソンさんと連絡を取れなくなった。後にネルソンさんの弁護士が家族に伝えたところによると、男のビジネス上の知り合いと名乗る人物がネルソンさんのラオスの宿泊先を訪れ、荷物を日本に持っていくよう頼まれたという。

 オーストラリア連邦外務省はABCに対し、自国民保護のため、ネルソンさんと見られるオーストラリア人女性と連絡を取っていることを認めている。

 ロマンス詐欺は、マッチング・アプリなどで知り合った主に女性をターゲットにしている。オンラインで恋愛感情を抱かせた上で、たくみに現金などを騙し取ることが多い。知らないうちに違法薬物の運び屋にさせられるケースも報告されている。

 国際的な犯罪組織の関与が疑われており、25日付の日刊紙「シドニー・モーニング・ヘラルド」によると、ネルソンさんは「ナイジェリアの恋愛詐欺師」に騙された可能性があるという。

■ソース
Donna Nelson’s family say she was duped or forced into carrying drugs into Japan amid romance scam(ABC News)
Former Greens candidate arrested in Japan a victim of Nigerian love scam, family says(Sydney Morning Herald)

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