3Dプリンターで本物そっくり
3Dプリンターで模造された精巧なニセのナンバープレートを使った犯罪が増えているとして、オーストラリアの警察が注意を呼びかけている。公共放送ABC(電子版)が伝えている。
ニセのナンバープレートは本物にそっくりで、見分けるのが非常に難しい。犯罪グループは、本物と同じ車種、色の車に同じ番号の模造プレートを取り付け、犯罪行為を繰り返している。このため、本物のプレートの車の所有者が、身に覚えのない容疑をかけられるケースも報告されている。
ひき逃げ、強盗の疑いかけられた
ABCによると、ビクトリア州のブレーダン・ローリンソンさんは昨年11月、91歳の祖母が所有する赤い「ホールデン・クルーズ」をウェブサイトで売りに出した。この時、車の画像のナンバープレートにぼかしを入れなかったため、犯罪者に狙われた。
1カ月後、警察がローリンソンさんの自宅を訪れ、ひき逃げと強盗、ガソリン窃盗に使用されたとして、車を没収しようとした。そればかりか、祖母の車を保管していたローリンソンさんに疑いの目を向けた。
幸い、ローリンソンさんは犯罪発生日時に休暇に出かけていて、アリバイがあった。防犯カメラの映像から、車がずっと自宅に保管されていたことも証明できた。その後、警察はナンバープレートが模造され、犯罪グループに使用されていたことを突き止めた。
スピード違反で罰金5,000豪ドル
一方、ブリスベンに住むスーザンさんは、ある日、スピード違反の通知書が送られてきた。罰金は合計5,000豪ドル。スピードカメラの画像には、スーザンさんが所有する車と同じ白い「フォルクスワーゲン・ポロ」が写っていて、ナンバープレートも同じだった。
見に覚えのないスーザンさんが地元の警察署に駆け込んだところ、ナンバープレートは模造されたものであることが判明したという。
スーザンさんはオンラインで車を売りに出したことは一度もなかった。ただ、路上駐車中に写真を撮られた可能性があるという。
模造を防止する対策はあるの?
クイーンズランド州でロードサービスを提供しているRACQによると、自分の車のナンバープレートが模造され、犯罪に利用されるのを完全に防ぐことは難しいという。
「自分の車の写真をネットに掲載する場合は、必ずナンバープレートにぼかしを入れるか、黒く塗りつぶしてください。可能な限りガレージやセキュリティー付きの駐車場に車を停めるようにしましょう。路上やドライブウェイに停めると、犯罪者に撮影されてしまう恐れがあります」(RACQのアンドリュー・カークさん)
当局も手をこまねいているわけではない。クイーンズランド州政府は2020年以降、偽造ナンバープレートを簡単に検出できるようにするため、一定の角度から見える特殊な印を付けた新しいタイプのナンバープレートの導入を開始した。
また、ビクトリア州政府は、オーストラリア初の模造不可能なナンバープレートを導入する対策を発表している。豪ドル紙幣にも使われているホログラムをプレートに実装して模造を防ぐ計画だ。
■ソース
Car registration plates cloned with 3D printers and used to commit crimes(ABC News)