6月末の基調インフレ率予測、0.75ポイント引き上げ
オーストラリアの激しいインフレが当面、従来の想定より高く推移する見通しであることが分かった。中央銀行の豪準備銀(RBA)が10日発表した四半期の金融政策報告書の中で、今年6月期(4〜6月)の消費者物価指数(CPI)上昇率の見通しを3カ月前の予測から上方修正した。主な経済指標の予測値は上記の表の通り。
22年12月期(10〜12月)CPI上昇率の実績値は、前年同期比7.8%と1990年以来33年ぶりの高水準を記録した。RBAの10月時点で予測していた8.0%は小幅に下回った。
RBAは22年12月までにインフレがピークを打ち、その後次第に下落していくと予測している。今回の報告書では、その想定は変えていないものの、下落のペースはより緩やかになると予測している。
報告書では、23年6月期のCPI上昇率は6.75%と従来予測(6.25%)から0.5ポイント上方修正した。23年12月期は4.75%と従来予測を据え置いた。
また、RBAが金融政策の目安としてより重視する基調インフレ率(トリム中央値=極端な物価変動を除外したCPI)の上昇率は、23年6月期が6.25%と従来予測(5.5%)比で0.75ポイント、23年12月期が4.25%と従来予測(3.75%)比で0.5ポイント、それぞれ上方修正した。
ただ、基調インフレ率は24年12月期に3.0%(従来予測は3.25%)とRBAの物価目標(2〜3%)の上限まで低下する見通しだと予測している。
報告書は「世界的なインフレは、まだ高水準にあるもののピークを打ち、供給制約の改善やエネルギー価格の鈍化などを背景に下落し始めている」と分析した。現時点のオーストラリア国内のインフレについては「世界的なモノの物価の下落基調が小売価格に反映されていない」と指摘した。
インフレ予測を上方修正した理由としては「直近の数字(12月四半期のCPI)が力強いものだった」ことを挙げた。その上で、世界的なインフレ減速の影響が国内市場に浸透していくと予想されることと、需要縮小と労働需給の正常化が国内のインフレ圧力を和らげると見られることから、「今後数年かけて目標圏内に戻るだろう」と予測している。
■ソース
Statement of Monetary Policy, February 2023(Reserve Bank of Australia)