「3月に輸出再開の可能性」と香港紙
龍に似た赤い外観から、縁起物として中国の宴席などで重宝されるオーストラリア産のロック・ロブスター(イセエビ)。豪中摩擦の影響で事実上、活きイセエビの対中輸出は事実上、禁止されていたが、近く約2年ぶりに禁輸が解除される可能性が出てきた。公共放送ABC(電子版)が伝えている。
オーストラリアのドン・ファーレル連邦貿易相がABCに語ったところによると、オーストラリア産の活きイセエビの輸出許可申請が最近、中国政府に拒絶されない例があった。ファーレル貿易相は「(豪中)関係に前向きな兆しが出ている」と指摘した。
香港の英字日刊紙「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト」はこのほど、匿名の関係者の話として、オーストラリア産活きイセエビの輸入が3月に再開される可能性があると報じていた。
だが、ファーレル貿易相は「問題は一夜にして起きたのではない。解決も一夜にしてなされることはないだろう」と述べ、実際に陸揚げされるまでは予断を許さないとの見方を示した。
西豪州の漁業者は輸出再開待ち望む
オーストラリア産ロブスターの中国向け輸出額は、禁輸前のピーク時で年間7億豪ドル(約635億豪ドル)の規模があった。しかし、中国政府は2020年11月、オーストラリア産の活きロブスターが汚染されているとして検疫上の理由で通関を停止。オーストラリア産の石炭や一部の牛肉、ワイン、木材などとともに、事実上の対豪経済制裁措置として禁輸としていた。
イセエビの主産地で、輸出基地となっている西オーストラリア州の漁業者は輸出再開に期待を寄せている。ただ、世界最大のイセエビ輸出業者である同州の「ジェラルドン漁業共同組合」の広報担当者は「直近の(豪中間の)対話とその成果は(漁業者にとって)励みになるが、現時点で輸入手続きに変更はない」と話している。
豪中経済摩擦をめぐっては最近、雪解けの兆しが見え始めている。ファーレル貿易相は6日、オンラインで豪中貿易相会談を開いて2国間の通商問題などを協議。2日後の8日には、オーストラリア産石炭7万2,000トンを積んだ船が中国広東省・湛江(たんこう)市に到着。オーストラリア産石炭の輸入が2年ぶりに再開している。
ファーレル貿易相は中国側の招待を受けて近く訪中し、対面で会談を行う予定。輸入規制の見直しについてさらに議論を重ねると見られる。
■ソース
Australia’s live rock lobster trade with China hoped to restart(ABC News)