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オーストラリア警官射殺事件 過激な終末論唱えるキリスト教原理主義者の「宗教テロ」だった

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クイーンズランド州警察が捜査結果発表

2022年12月12日、オーストラリア北東部クイーンズランド州ワイアンビラで待ち伏せされ、射殺された州警察のマシュー・アーノルド巡査(左=当時26歳)とレイチェル・マックロー巡査(当時29歳)(Photos: The State of Queensland (Queensland Police Service) 2023, published under CC-BY-4.0 licence)

 オーストラリア北東部クイーンズランド(QLD)州ワイアンビラの民家で昨年12月12日、待ち伏せされた警官2人と隣人1人が射殺され、容疑者3人を含む合計6人が死亡した事件。QLD州警察は16日、「宗教的な動機に基づくテロ攻撃だった」との衝撃的な調査結果を発表した。

 公共放送ABC(電子版)によると、QLD州警察のトレーシー・リンフォード副警視総監は会見で「我々は突発的、自然発生的な犯行だったとは信じていない。警察を標的にした攻撃だったと考えている。周到に準備、計画されたことを示す重大な証拠がある」と述べた。

 その上でリンフォード副警視総監は「トレイン家のメンバー(容疑者3人=警官隊の突入時に射殺)は、『プリミレニアリズム』(前千年王国説)と呼ばれるキリスト教原理主義の教義を信じていた」と指摘。3人は警察を「怪物や悪魔」と位置付け、宗教的なテロ攻撃の対象にしたという。

 前千年王国説とは、キリスト教原理主義の一種。聖書の黙示録に基づき、イエス・キリストが地球上に再臨した後、破壊と混乱の時代が訪れるとの過激な終末論を主張している。同副警視総監によると、コロナ禍や気候変動、戦争、社会の分断などを背景に3人は次第に過激な教義にのめり込み、「終末の時代のために準備を始めていた」(同副警視総監)という。

 3人は当初、過激な陰謀論を主張する「ソブリン・シチズン」(主権市民)との関連が取りざたされていた。反ワクチンや反政府思想などの類似性はあるものの、同副警視総監は「ソブリン・シチズンではなく、キリスト教原理主義に傾倒していた」と結論付けた。

 警察は事件後、主犯格のステイシー・トレイン容疑者の過去数年間の日記や、3人が携帯電話で送信したメッセージ、ソーシャル・メディアへの投稿、関係者190人へのインタビューなどの証拠を集め、犯行動機を解明した。

 州警察によると、3人は銃火器や弓矢、ナイフなどの武器を蓄え、監視カメラを設置したり、落とし穴を掘ったりするなど、警官を待ち伏せして攻撃する準備を整えていた。国内に共犯者はいないもようだが、州警察は容疑者のソーシャル・メディア投稿に米国からメッセージを送った人物をめぐり、米連邦捜査局(FBI)とともに捜査を続けている。

 キリスト教原理主義者をめぐる事件としては、米テキサス州の教団施設に1993年、FBIと軍が突入し、多数の信者が死亡した「ウェイコ包囲」があるが、オーストラリアでは今回が初めてだという。

■ソース
Queensland police say Wieambilla shooting was ‘a religiously motivated terrorist attack’(ABC News)

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