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お肉はやっぱり本物がいい? オーストラリア代替肉ベンチャー「V2」が工場閉鎖へ

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インフレの影響で植物由来肉は黒字化難しく

 オーストラリアのハンバーガー・チェーンやスーパーに植物由来の代替肉パテを提供しているベンチャー企業「V2フード」が近日中に、同国南部ビクトリア州ワドンガの工場を閉鎖することになった。17日付の公共放送ABC(電子版)が伝えた。

 V2フードは2019年、政府系研究機関「オーストラリア連邦科学産業研究機構」(CISRO)と、同国で大手ファストフード・チェーン「ハングリー・ジャックス」を展開する外食大手「コンペティティブ・フーズ」が共同で立ち上げた。ハングリー・ジャックスやスーパー大手「ウールワース」や「コールズ」などに、植物由来の代替肉のパテやひき肉、ソーセージなどを供給している。

 代替肉は、ベジタリアン(菜食主義者)や、畜肉・魚介類のほかに乳製品や皮革など動物由来の製品を全否定する「ビーガン」だけではなく、健康増進や環境保護に熱心な一般層の需要を喚起し、19年頃にブームを起こした。

 ABCによると、ウォドンガの工場は2,000万豪ドルを投じて20年12月に操業を開始。国内向けに代替肉パテを提供しているほか、ニュージーランドのハンバーガー・チェーン「バーガーキング」へも商品を輸出している。しかし、30人いた同工場の従業員は現在では4人に減り、数週間以内に稼働を停止することになったという。

 V2は他の工場で製造を続けるため、閉鎖の影響はないという。同社のアンドリュー・メイ氏はABCに「私たちが現在販売している商品には影響がなく、供給継続に問題はない。工場閉鎖は残念だが、代替肉の需要は加速しており、私たちは体力を蓄えて将来の可能性に対応することが可能だ」と述べた。

 しかし、苦戦している代替肉のベンチャーはV2だけではない。農産品・食品の市場調査を手がける「エピソード3」のアナリスト、マット・ダルグレイシュ氏がABCに述べたところによると、代替肉の需要はコロナ禍後の激しいインフレによって打撃を受けているという。

 ダルグレイシュ氏によると、代替肉が成功するには、本物の肉より安い必要があるという。だが、ファストフード店やスーパーの植物由来肉の価格はむしろ割高であることが多い。植物由来のたんぱく質で肉の食感や味を工場で人為的に再現するには、それなりのコストがかかるのだ。

「ビジネスをめぐる環境が困難になってきているのは、不思議ではありません。彼らは『販売は好調だ』と言うでしょうが、販売量が多くても利益を出せないのです。製造コストを下回る価格で販売せざるを得ないケースも多いのです」(ダルグレイシュ氏)

■ソース
Plant-based meat manufacturer V2food set to close $20m Wodonga factory(ABC News)

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