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オージービーフに「漁夫の利」? ブラジル産牛肉、BSE発症で中国向け輸出停止

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オーストラリア産牛肉の対中輸出に追い風か

 世界最大の牛肉輸出国であるブラジルで牛海綿状脳症(BSE)の発症したため、同国農業省は23日、中国への牛肉輸出を一時的に停止した。競合国オーストラリアの畜産業界は、これが輸出機会の拡大につながるかどうか、状況を注意深く見守っている。公共放送ABC(電子版)が伝えた。

 ブラジル農業省はこのほど、北部パラ州の農場で9歳の雄牛がBSEに感染したことを確認したと発表した。サンプルをカナダの研究施設に送り、今回の感染が「非定型」だったかどうかを調べるという。非定型BSEは主に高齢牛に感染し、「定型」と比較してリスクが低いとされる。

 中国は世界最大の牛肉輸入国。2022年には262万トンの牛肉を海外から輸入した。輸入先の国・地域別ではブラジル産が約124万トンと圧倒的に多い。一方、ブラジルに次ぐ世界第2位の牛肉輸出国であるオーストラリアは19年に過去最高の約30万トンを中国に輸出したが、豪中関係の悪化に伴う中国の貿易制裁の影響で22年には約15万トンと半減している。

 ブラジルでBSE感染が確認された例は過去にもある。最近の21年の例では、対中輸出が停止された期間は3ヶ月間にとどまった。

 農産品情報提供を手がける米グローバル・アグリトレンドで市場調査アナリストを務めるサイモン・クィルティー氏はABC対し、感染拡大が短期間で収束した場合は、世界の牛肉市場への影響は限定的だとの見通しを明らかにした。その上で同氏は「中国が突然、ブラジル産牛肉を輸入できなくなると、中国はオーストラリア産を買い求める可能性がある」と指摘した。そうなれば、オーストラリア産牛肉の需要が急増し、主な輸出先である日本や韓国からの引き合いも増えそうだという。

 また、オーストラリアの市場調査会社「エピソード3」の市場アナリスト、マット・ダルグリーシュ氏によると、ブラジル産牛肉の輸入停止をきっかけに、中国がオーストラリア産牛肉の輸入規制を見直す可能性もあるという。

「中国政府はオーストラリアに対する政策を考え直し、外交関係の緩和に向けて前進するかもしれません」(ダルグリーシュ氏)

■ソース
World’s largest beef exporter Brazil suspends supply to China after case of mad cow disease(ABC Rural)

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